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『お前さんたちがラスボスに放った攻撃の力は、今浮遊状態にある。―――つまり、二人の攻撃の半分は確かにラスボスにダメージを与えたがAはそこで力尽き、RIP。それを本能的に察した志麻、お前が残りの力を天空に投げたことで、この空間ができたという訳だ』
『つまり―――下界はあのときのまま。そしてお前には選ぶ権利がある。権利があり、義務がある』
『今現在ここに使われている力を、ラスボスに向けるか、Aに向けるか』
『世界を救うか――――――――――――Aを救うか』
『選べ、勇者』
「Aに決まってるやろんなもん」
『...................躊躇がないな』
即答した俺に対し、たっぷりの沈黙の後困惑する神。
「どうかしたん?別に迷うほどのことでもないやろ。選ぶべきことを、選択しただけや」
『選択した、というよりは賭けをした、という風に見えるがの』
やや嘆息気味に、神は言う。...おそらく、迷ってほしかったのだろう。
人間のように。
人間らしく。
選択肢の残酷さに嘆きながら、使命と愛を天秤にかけながら。
それは決して神の性格が悪いわけではなく―――ただ俺の。
勇者として戦い続けて生き続けた“志麻”という人間を、見たかった。
ただ、それだけなのだろう。
「悪いけどな。俺はそういう、人間やから」
乾坤一擲。
世界とAを天秤にかける、それとは別に、これは立派なしかし破綻した賭けであった。
イカれた賭博師だった。無茶苦茶なギャンブラーだった。
それでいい。それがいい。
それでこそ、志麻
神に背を向ける。足が地に着く。歩き出す―――朦朧と霞がかる意識の中。
考えたのは、世界と彼女のこと。
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飴依存症の人*神作掘り出し隊(プロフ) - すげえ…どれも良かったけど菊花さんので泣いちまったよ…。 (2019年9月13日 16時) (レス) id: 9ac419bf0d (このIDを非表示/違反報告)
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