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うらたさんに手をひかれながら帰宅した。道中、彼は色々な話をしてくれたけれど、私はそれにただ素っ気ない返事を返すだけしかしなかった。私がまとった重苦しい空気を変えようとしてくれた彼の優しさを無駄にした自分に腹が立つ。あぁ、嫌だなぁ。なんでこんなにうまくいかないんだろう。
部屋着に着替えてリビングに行けば、既にうらたさんがソファーに座ってスマホを触っていた。
「おっ、やっと出てきたな。そんなとこ立ってないでこっちこい」
部屋から出てきた私に気付いたうらたさんは手招きして私を呼ぶ。呼ばれた通り隣に座れば、彼はスマホを机に置いて、私に向き合うようにして座りなおした。
「で、さっきはなんであんなに泣きそうな顔してたわけ？」
突然の問いかけにどう答えようか迷った。何も無いというべきなのか、素直に話すべきなのか。そんな私の心中をわかっているかのように彼は続ける。
「また何か言われたのか？」
「......いえ、別に」
「言われたんだな。そんなやつらのことなんて気にすんなって前にも言っただろ？」
嘘をついたところでうらたさんにはばれてしまう。彼の言うことは正しい。気にしなければいいだけの話なのだ。だけど......。
「うらたさんには......
うらたさんにはわからないです」
努力を認めてもらえないことへの焦り。
「たくさんの人に努力と実力を認められて、たくさんの人に好かれてるうらたさんにはわからないです」
周りを認めさせるだけの努力ができていない自分へのいらだち。
「何をしても、どれだけ努力しても実力を認めてもらえない。そんな私の気持ちなんて絶対、うらたさんにはわからないです」
そこまで口に出してはっとした。こんなのただの八つ当たりだ。
「ごめんなさい」
それだけ呟いて自室に駆け込む。うらたさんの顔を見ることが怖くて、目を合わせることができなかった。
無意識に溢れた言葉はどれも彼を否定して傷つける言葉だった。違う、違うんです。貴方は何も悪くないんです。私が悪いんです。
うらたさんだけは最初から私を見て、認めてくれていたのに。自分から理解者を突き放した。本当に、どうしてこんなにうまくいかないんだろう。
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