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「──あ、A」

「あら、き…」


下駄箱でスマホをいじっていたら、あらきに声をかけられる。いつものニコニコ笑顔で私の手を取り、「帰ろうぜ」と言葉をかけた。


(こういうのに弱いのよね…)


あらきの不意打ちにはいつもやられてしまう。笑顔だって、仕草だって、声だって。


「…A?」

「へっ!?」

「帰らねーの?」

「か、帰るわよ」

「…足、よく見て」


足?と思い下元を見る。なんと上履きを履かずに昇降口を出ようとしたのだ。


「ぶふっ……」

「笑ってんじゃないわよ!!」





★☆★☆★






Aってたまに抜けてるんだよな…。可愛いところ、また見つけた。


「でさー、あいつがヘマして結局全員怒られちまったってわけなんだよ」

「あらきも怒られたの?」

「嗚呼、みっちり怒られた。しかも現国のセンセーに」



「どんまい」と労ってくれる。うわ、可愛い…。惚れるわ、ほんっと……


──その時、ポツリと頭の上に水が落ちてきた。そしてザァーと勢いよく降り出した。


「やっべぇ!!」

「ど、どうすんのあらき!私傘なんて持ってないわよ!?」

「俺も持ってねえよ」


為す術がなかった。クソ、このままじゃ俺もAも風邪ひいちまう。


「どっか雨宿りできる場所…」



──あった!

ちっちゃいベーカリーショップの隣に、これまたちっちゃいバス停があった。


「走るぞ!」


Aの手を引っ張り全速力で走る。体育の授業や持久走大会にも出せない馬力で走り続けた。

「えっ、ちょ、あらき!?」と困り果てているAをお構い無しに走り続けた。ただひたすら走った。


「ふーっ…着いたぁ……」

「はぁっ、はぁっ、……いきなり、走り、出さないでよ…ビックリ、するじゃ、ない」


ゲホゲホと咳き込みながらAはベンチに座る。このベンチは2人で座ってもぎゅうぎゅうになる。はっきり言って狭いけど雨風しのげるんだったら、文句は言えない。


「っ……」



Aはガタガタと震える。このままだと低体温症になりかねない。


「だ、大丈夫か?」

「さむ、い」


顔も真っ青だ。俺は着ていたカーディガンをAに被せる。Aは少し安堵したのか表情が和らいだ。


こんな急に大雨降るか?予報だと今日は一日中ずっと晴れの予報だったのに…。夕立ちとか久々過ぎるだろ。


(………ん?夕立ち?大雨?)



『後ろから抱きしめて×××××って言ったんです。その時のカノジョの顔は忘れられませんね』




……あ。

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設定タグ:歌い手 , 大型コラボ,合作 , 隠れた愛の言葉   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:作者一同 | 作者ホームページ:***  
作成日時:2019年8月14日 8時

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