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「A」
「な、何」
あらきに突然話しかけられる。今は昼休み、ご飯も食べ終わって友達と喋っていたところにあらきが現れた。
昼休みに話しかけるとか珍しい……
「今日一緒に帰ろう」
「い、いい、けど」
「俺、今日掃除だから下駄箱で待っててくんね?」
「分かった」
「じゃーな」
そう言ってあらきは友達の所に戻り、談笑を再開する。
「……あんたも隅に置けないわね」
「るっさい」
「てかA、あらきくんに対してツンデレ過ぎない?」
「はぁ?」
友達に図星を突かれ、素っ頓狂な声を出してしまう。確かにあらきに対してはツンデレっぽくなっちゃうけども。
「別にツンデレ過ぎることはないけど」
「いやいや、ツンデレ過ぎるわよ」
「そうかな…」
「ツンデレ過ぎるのも結構ヤバイわよ」
「…え、」
結構ヤバイと友達にガチな顔&ガチトーンで言われ流石に私も焦りを覚える。
「私のお姉ちゃんね、Aとあらきくんタイプのカップルだったのよ。最初は上手くいってたんだけど、半年過ぎたら辺りから雲行きが怪しくなり始めたの」
「…マジ、で?」
「ええ。そんで最終的には彼氏がこう言ったらしいの」
友達はやけに神妙な顔つきで言葉をポンポン発していく。
「──『お前さ、愛想悪すぎんだろ』ですって。そんで彼氏に別れ告げられた、チャンチャン」
「チャンチャンじゃないわよ!」
そんな恐ろしい話あってたまるか。怖いわ。世界中のどんなホラー映画よりも身の毛がよだつわ!!
「だいたい…私とあらきは上手くやってるよ」
「お姉ちゃんも初めはそう言ってたわ。でも最終的には別れたわよ?」
「うっ……」
確かにあんたのお姉さんは別れてしまったようだけども…私とあらきは違う!!ちゃんと上手くやってる……つもり、だもん。
「…まあようするに、何が言いたいかって言うとツンデレも程々にしときなさいってことよ。あらきくんと別れてもいいなら話は別だけどね」
ズズズ、といちごミルクを飲み干し紙パックをゴミ箱に投げる友達。
(確かに、ツンデレは過ぎてるかも、だよね…)
チラリとあらきの方を向く。あらきは友達たちと世間話で盛り上がっているようだ。
あんな風に、私も話せたらいいんだけどな…
──あらきは私なんかと一緒いて楽しいのかな。
付き合って3ヶ月目。初めてこんな考えが生まれてしまった。
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