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*



ゆっくり話すといい。
と、言われた。

正直、そんなこと言われたって、部屋にふたりきりにされたって、どうしようもないでしょ、って思う。

目を合わせて、語りかけて、手を握って、寄り添って、抱きしめて、キスして。
…そんなことしたって、彼が戻ってくるわけじゃないんでしょ。

実際、ふたりきりの病室だというのに、彼は目を合わせてもくれない。そるどころか、顔を背けてずっと窓の外に広がる、空の彼方へと視線を向け続けている。

悲しくなって、彼の赤髪すらも見たくなくて、顔を俯けたその時。



「_きみ、名前なんていうん?」



耳障りの良い、その声が風に乗ってゆったりと私に届いてきた。



「…っ、A。私の名前は、A」

「…A、かぁ。かわええ名前やね」



顔を上げると、そこには私に焦点を当てて、ふんわりと微笑む坂田くんがいた。

ひどく、懐かしい気持ちになった。



「Aは…俺とどういう関係やったん?」

「…恋人、だよ」

「そ…っかあ」



_じゃあ、辛い思いさせてもうたな。ごめんね。

柔らかい、白い手が私の頭に伸びてきて、ゆっくりと撫で始めた。
その感覚は、ひどく温かく。ひどく、現実的で。

涙を押し流すには、十分すぎた。



「俺、記憶取り戻したい。ちょっとしか話してへんけど、Aはええ子や…って、確信してる。不思議やろ?」



愛の力ってやつかな、なんて楽しそうに笑って。
数日前、あなたとデートした時の笑顔に重なって。

だめだ、本当に。

悲しくて、哀しくて、(かな)しくて。



「…Aと行ったとこに行って、したことをもう一回したい。そしたら思い出せるかもしらん」

「……」

「協力、してくれへん?」



何で、あなたにとって初対面の人に、そんな顔で、そんな声で、そんなことが言えるの。

私以上に苦しくて、不甲斐なさを感じているはずなのに。



「_うん」



私があなたにできることは、何ですか?

*→←【坂田】1番好きなのなーんだ?/sera



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設定タグ:歌い手 , 大型コラボ,合作 , 隠れた愛の言葉   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:作者一同 | 作者ホームページ:***  
作成日時:2019年8月14日 8時

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