推しの綱海の妹になったんだけどこれなんてご褒美？ (ページ26)

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三人だけの教室で、私はドスの効いた声を出した。

「で？どういうことですかねこれは」

劇が終わって一段落した頃、教室の床で正座して苦笑いの二人を睨みつける。

「サ、サプライズ……デス…」

「は？何て？」

「サプライズプレゼントです！」

半泣きの二人を見て、長い溜め息をつく。

「あのね。二人が脚本担当なのは知ってるし、私の好きな人がわかってたからやったことなんだろうけどさ、急に誰かが台本と違うことしたら皆驚くでしょ？」

「はい……」

文化祭という大きな行事なのにこういうことをするもんだから油断できない。でも私のことを想ってやってくれたんだと思うと、本気で怒る気にもなれない。厄介な二人なのだ。

「でもありがとう。修也に鼻キスされるのはキュンときた」

私が怒りスイッチを切ってそう言うと、すかさずそれにしても食いつく。

「でしょ！？ホントは口にチューだったんだけどね！」

「お前がキュンときたなら大成功だ！良かったよ！」

「えぇ……」

一気に捲し立てたあと、二人は仲良く教室から飛び出していった。あれ以上私に何か言われるのは勘弁なのだろう。

自分の席に座ってぐでーっとすると、修也が前の扉から入ってきた。

「田中と山田が飛び出して来たんだが」

「ほっといて大丈夫……」

今は恥ずかしくて修也の顔を見れる気がしない。

修也もそうなのだろう。きまずそうな声を出した。

「……さっきは悪かった。お前への配慮が足りなかった」

「十分だよ。最初は口にだったんでしょ。二人が言ってた」

「そうか……」

教室に変な空気が流れる。ここらへんは出し物がない為、静かだ。遠くからざわざわと音が聞こえる。

「修也もごめんね。こんなことさせちゃって。二人にはちゃんと言っといたから」

相変わらず机に伏せたまま言うと、びっくりするような言葉が返ってきた。

「俺は別に……口でも良かった……」

「………え」

伏せていた顔を上げて修也を見ると、背中を向けて立っていた。でもわかる。耳が赤い。

どうしようもなく愛おしさが込み上げてきた。

「〜〜〜〜っ可愛いかよ！」

「うわっ抱き着くな！」

それで恥ずかしそうにする推しを見て、顔がニヤける。

白雪姫が小人に恋したって何も問題ないよね。