推しの綱海の妹になったんだけどこれなんてご褒美？ (ページ20)

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「もうデザインとかは決めてるの？」

教室に帰る途中で聞いてみる。

最終的には自分が着る服だし、気になってしまうのも当然のこと。できるだけフリフリやリボン等は避けたい。

「うん。基本はみんなが知ってる白雪姫のドレスだよ。一から作ろうって子もいたんだけど、委員長が、そしたら文化祭に間に合わないって一刀両断してたよ」

「相変わらずだなぁ」

我らが学校委員長は至極真面目。真面目が生きているような人だ。仕事も効率よくテキパキとこなす。真面目過ぎて冗談が通じないこともあるが、信頼が厚いのも確かだ。

その委員長が言ってるんだ。本当に文化祭に間に合わなくなるのだろう。

教室のドアを開けると二人の影が飛び出してきた。

「やっほー綱海！脚本は任せとけ！」

「ドキドキラブストーリーにしてあげるからね！」

「田中……山ちゃん……。…………全然嬉しくないけど」

私は円堂とのラブストーリーよりも修也とのラブストーリーをご所望なんです(欲望丸出し)。

しかもこいつらが脚本かよ。

「山田さんに田中さん。ストーリーはあまり変えないようにしてください。少しのアレンジは結構ですが、あくまでも土台は変更しないように」

「は、はーい……」

委員長ナイス。助かりました。

颯爽と別の係のところへ歩いて行く彼女に、心の中で拍手を送る。

「じゃあ私は戻るね」

「はいはーい」

小道具の人が集まっている場所ヘ戻っていった。

台詞練習もまだないので暇そうにしてると、後ろから元気な声が聞こえてきた。

「おはよう綱海！お前姫役なんだろ？よろしくな！」

「なんで君はそんなに元気なのカナ？」

「今日の給食カレーだって！」

「そういうこと訊いてるんじゃないの」

採寸し終えたらしく、笑顔一杯な円堂が話しかけてきた。

お前は将来夏美と結婚するんだぞ。こんなことやってて良いのか。

「俺王子様役とか初めてなんだよ。木とかならやったことあるんだけど」

「それは最早、役とは言えない気がする」

ていうかさ、円堂ってあんまり王子様っぽい格好似合わなくない？雷門中の制服とかユニフォームの方がしっくりくるわ。