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「あの、Aさん。貴方は、人間ですよね?」
不意にそう言った炭治郎の言葉に、全員の箸が止まる。
何か気まずい空気が流れている気もするけど、気にしないぞ。
「話せば長くなるから、端的に言うけど、私は鬼だよ」
そう言って隠れた左目を見せる。
その瞬間、三人は硬直した。唾を飲んだ音も聞こえる。
目を見開いた顔には、信じられないと書かれているようだった。
驚くのも無理はない。私の左目には「下零」と書かれている。
今知られている十二鬼月は上弦と下弦それぞれ壱から陸までだ。零なんていない。
けれど、確かに私はその零だった。
あの方____鬼舞辻無惨が作った、彼の人形のようなものだ。
だからほとんどの鬼は私の存在を知らない。
とにかく私は、彼から逃げたかった。辛い思いから逃げたかった。死にたくなかった。
今此処で生きていられるのが、本当に奇跡だ。彼から逃げるのは不可能だから。
彼の元を離れてから、呪いを自力で解いた。
鬼の頃の名前も捨てた。今は御館様から貰ったこの名が私の名前だ。
「血は鬼殺隊に入ってから飲んでない。私は『人間』として生きたい。
鬼と和解して、共存することを望む人間がいるように、鬼にもいるんだ。私のような奴は。
そのためなら、私はこの命を尽くして、私を鬼として生かした
鬼舞辻無惨の息の根を止める覚悟でいる。
······恐ろしい?」
そう聞くや否や、炭治郎は首を横に激しく振った。
貴方からは優しい匂いがする、全く恐ろしくない、と目を細めて言われた。
そう言われた事で、少なからず私の気持ちが安らいだ。
善逸は聴覚が、伊之助は触覚が優れているらしい。
きっとそれらは、これからも三人を支える重要な能力だ。
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レミィ - 面白かったです!今コロナが流行っているので気を付けてください! (2020年3月9日 11時) (レス) id: edb0276662 (このIDを非表示/違反報告)
ぴっぴ - とても面白かったです!私もこんな小説が書けるようになりたいです! (2020年1月28日 16時) (レス) id: 113690dea7 (このIDを非表示/違反報告)
Kaede(プロフ) - 零さん» 本当ですね、すいません!ありがとうございます! (2019年10月17日 1時) (レス) id: 7af5a2cf72 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 「吾妻」じゃなくて「我妻」だと思います。間違ってたらすみません (2019年10月16日 23時) (レス) id: ac710565be (このIDを非表示/違反報告)
Kaede(プロフ) - 雪乃さん» 教えてくださりありがとうございます!すぐに直します!指摘コメントありがとうございました! (2019年10月13日 10時) (レス) id: 7af5a2cf72 (このIDを非表示/違反報告)
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