44虹のそばに ページ44
間が悪かった‥悲しい不慮の事故だった。
船内の奥へ逃げる準備をしていたナースたち。
最後までナース室で指示をしていたシアラが扉から身を屈め出た瞬間。
流れ弾が頭部に当たり即死だった。
『なんで‥。私まだ大事な話、聞いてない‥』
綺麗な亡骸の前に、佇むA。
雨の中命が消えそうな瞬間親父に拾われたA。船でひとときも離れず死の瀬戸際から掬い上げたのはシアラだった。
『わた、しのお母さんだと思ってたけど言えなかった、こんな事になるなら‥』
ルビー色の瞳から、はらはらと流れ落ちる涙。
我慢していたクルーたちの涙も頬に滑り落ち、足元の茶色い床へ消えてゆく。
『母さん‥！お母さん、‥っ』
空は突き抜けるように青く、水平線の遥か先は海と空が溶けるように混ざり合う。そんな晴天の午後の海に、胸が苦しくなるような悲しい嗚咽が響き渡った。
そんなAを大きな腕が抱きあげる。随分と老いた、その瞳にも涙の膜が張っていた。
『父さん、シアラ‥母さんは幸せだったかな』
「当たり前だ、こんな可愛い娘をこの船で育てたんだからな」
．
.
「シアラ‥じきに俺もそっちに行く。暫く寂しいだろうが‥待っててくれ」
船で育てていた花を、皆が涙しながら手向けてゆく。棺にたくさんの品を入れられまるで眠っているかのような美しいシアラは幸せそうに微笑んで見えた。
親父が棺に釘を打ち軽々とそれを持ち上げた。甲板をゆっくり歩き、一周する。
「生まれ変わったら、また会おうシアラ‥！！」
そう言った親父は、海に棺を流した。
次第に見えなくなってゆく棺。
それぞれが手を合わせ、船内の持ち場へと戻っていった。
「お嬢、大丈夫か」
『ん、イゾウ‥みんな』
振り返り、頼もしい兄たちと大好きな彼が目に入る。皆眉を下げ、心配そうにこちらを見ていた。
その視線にまた込み上がる涙を飲み込んで、笑って見せる。
その瞬間、イゾウの顔が歪んで強く引き寄せられ抱き締められる。
「‥ナースたちを降ろすことになった、親父が決めたんだ。これから先、守る約束が出来ない」
ハッとしてイゾウの顔を見上げる。その表情を見て、イヤだ！私は闘える！！と勝手に口が叫ぶ。
一瞬目を見張るイゾウ。しかし固く目を閉じて小さく首を横に動かした。
「お前に何かあったら‥。
俺たちは自分を責めて生きていけない」
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嫁子ちゃん。(プロフ) - 読者の皆様！こんにちは(^^)新しいアカウントになりました！末っ子ちゃん更新してますので、私に飛んで楽しんで戴けたら幸いです‥(*^^*) (2021年4月30日 9時) (
レス) id: 8e3cf6a3ac (このIDを非表示/違反報告)
嫁子ちゃん。(aug)(プロフ) - マリンさん» 本当ですか？！嬉しい‥( ｡ﾟДﾟ｡)私も書きながら悶絶しております‥wちびマルコ。マリンさまの為に書きますよ！アカウント変わりましたが続編作りましたのでまた絡みに来てください！ (2021年4月12日 13時) (レス) id: b51500dff7 (このIDを非表示/違反報告)
嫁子ちゃん。(aug)(プロフ) - 蒼鳥さん» 毎回だなんて‥泣ける嬉しい(ToT)ありがとうございます‥！アカウント変わりましたが続編‥書きました！是非ともまた感想教えてください( o´ｪ｀o) (2021年4月12日 13時) (レス) id: b51500dff7 (このIDを非表示/違反報告)
嫁子ちゃん。(aug)(プロフ) - 名無しさん» ありがとうございます！楽しみにしてもらえて光栄です‥！続編、アカウント変わりましたが作りました。良かったら遊びに来てくださいね(^-^)/ (2021年4月12日 13時) (レス) id: b51500dff7 (このIDを非表示/違反報告)
マリン - 二人がくっついて叫んでました(笑)ちびマルコ….！みたいです！ (2021年4月11日 19時) (レス) id: 6f6628a406 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：嫁子ちゃん。 x他1人 | 作者ホームページ：https://Twitter.com/yomeko_zzz
作成日時：2021年3月24日 17時
