あなたは浮気性 【三途春千夜】

4 ページ4

･








彼の浮気を疑ったのはいつだったっけ。




ご飯が終わったあと、2人でお風呂に入って、鏡の前でスキンケアの途中に考える。







最初は、いつもと違う香水の香りだなって、思っただけ。



それから、見たことの無い指輪だなって思ったり、知らない女性の声が、電話越しに聞こえたり。





でもそんなの、別に、大したことじゃないかなって思った。







彼はかっこいい。


イケメンで、たまに冷たいところにギャップを感じたり。



意地悪だけど面倒見がよかったり。





そんな人が実際に営業なんてしてれば、お客さんからプレゼントを貰ったり電話がきたりするのは、そんなもんかなって、思う。





だから多分、それを浮気って騒ぎ立てる方が嫌がられる。






そんな風に思っていたはずなんだけど。



それが、何度も、何度もあって、休日も、電話ひとつでどこかに行って。





それで、あぁ、黒だなって、思い始めたんだよな。









｢A｣





｢ん？｣





｢まだ？｣





｢髪、乾かさないと傷んじゃうよ｣





｢乾かしてくれんの？｣





｢仕方ないなぁ！｣








最後にここに帰ってきてくれるなら、私のご飯を美味しいと言ってくれるなら、そんな風に考え始めてから、結局、どれくらい経ったんだっけ？







痒いところないですかー？なんて言いながら、私はまた、何も言わない。












･

5.→←3.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す