プライドなんて、…ていうか素直とか。 (ページ32)

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(あれ、ローレンだ、…中庭にいるの、珍しいな)

少しだけ話しかけてみようか？

いや、やめておこうか、そんなことを考えていれば
思いがけないことが起きた。……見えてしまった。

まだ見えただけならよかった、でも残念なことに窓は
開いていて、直接声が聞こえてしまったんだ。

かわいい女の子の声がローレンに

「あの、ずっと前から好きだったんです、

…私と、付き合ってくれませんか」

って言ってるのが。

嫌だ、咄嗟に窓を閉めて戸の戸締りを確認する。

見ないふりをしたのだ、私は。

嫌だ、いやだ、やだ……。

ローレン、あの子と付き合うのかな、

一瞬で女の子に嫉妬心が芽生えたことが分かる。

もやもやしてくる、胸がいたい。

なんでこんなところに遭遇してしまったのだろう。

このときは私自身の運命を呪いそうになった。

後輩1「あれ、先輩どうかしましたか」

あぁ、そう言えばこの子は人の感情の
変化に気づきやすい子なんだったっけ。

「いや、何もないよ、……私は平気」

そう言って誤魔化そうと思った。

後輩1「……そうですか？ならいいんですけど」

少し怪訝そうな顔をしたのでばれたかな、
と思ったけどそうじゃなかったみたいで。

よかったと思い、また確認を再開した。

けれどもそんな状態で作業に集中できるわけもなく…

だってあんなのもやもやするに決まってるし
ずっどぐるぐる考えてしまう……。

体育祭だってあと６日とかそういうレベルなんだよ、

あーあ、……ローレンはハチマキ、
あの子に渡したりするんだろうか

そうやってずっとさっきのことを考えている自分。

相当ローレンのこと好きなんだな

って一周回って客観的になってしまっていた。

見回りや確認を終えて家に帰ってからも

ずっとそのことばかりが脳裏に浮かぶ。

体育祭、やだな。

もうすぐとか信じたくない、

このままローレンに会える気がしない。

もういっそ、…会わないようにすればいいのだろうか、

体育ではちゃんと男子の方にいかなければ
会わないだろうし、クラスも違うんだから
大丈夫なはずだ。そうね、それが一番かもしれない。

明日から、できるだけ会わないように別ルートとかを
使うようにしようかな、

結局その日はそんなことを考えていたせいで
一睡もできなかった。