66.首輪 ページ16
･阿伏兎･
ひぐひぐと嗚咽を上げて何度も涙を止めようと試みるA。
そんな努力も虚しく、溢れた涙は止まらないようで
いつまでも俺の胸に顔を埋めながら涙を流す。
俺はAを抱き上げて
新調したベッドの上に座り、子供でもあやすかのようにAと揺れる。
｢A、そろそろ泣きやめ、な？｣
大丈夫だから、そう言って背中を優しく叩いてやる。
何とか次第に涙が止まっていったAに、頬がいつの間にか緩んでいた。
何度も告げられたAの本音と
どんどん募っていくAへの気持ち。
あぁやっぱり、俺ァよっぽどこいつに惚れこんでる。
何より、こうやって子供っぽく俺に頼ってくるAが可愛くて仕方がない。
｢A、お前が俺をどう思ってようが、俺ァ変わらずおめぇが好きだ｣
真正面から、恥ずかしいという感情すら忘れて
気持ちのままに言葉を告げた。
俺の瞳を見ることも出来なかったAがみるみるうちに赤くなった。
｢嘘だ。阿伏兎は大人だもん。
そうやって、色んな人にそう言ってるんだ。
ゆうちゃんにもそう言ったんでしょ。
安心しろって、俺が守るって抱きしめて寝たんだ。
今私にしてるみたいに優しく抱きしめたんでしょ｣
嫌味のように、そう言うだけ言って、また言葉を詰まらせて
思い出したかのようにポロポロと泣く。
そこまではしていなかったとしても
そう思われる行動をしたのは確かだった。
現に、Aを泣かせてしまっているのも、俺なわけだ。
不安にさせていたことくらい知ってたさ。
飯も食えなくなるほど追い込んでたことくらい知ってた。
でも、突きつけられた本音に、自分の未熟さを思い知らされて、
Aの本当の姿に、心底安心した。
甘え過ぎてたんだ。
こいつの大人のフリに。
医者に付けられた白い首輪をなぞる。
捲ればあいつに付けられた黒い首輪が覗かれる。
もっと早く、もっとすぐに、俺がつけときゃ良かった。
俺とお前の弱さが、互いを縛れずにいたんだよなぁ。
･
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あい(プロフ) - おもちさん» コメントありがとうございます！予想に反することが出来て嬉しいです！こちらこそ、ご愛読ありがとうございました！ (2021年10月21日 3時) (
レス) id: 7ef5ab0f96 (このIDを非表示/違反報告)
おもち - 完結おめでとうございます！いつも予想外の面白い展開で楽しみに待ってました！とても面白かったです！ありがとうございました！ (2021年10月19日 21時) (レス) @page32 id: b22efef821 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - うさぎさん» またまたコメントありがとうございます！無事完結させることが出来ました！是非次作も楽しみにしててください！ありがとうございました！ (2021年10月19日 2時) (レス) id: 7ef5ab0f96 (このIDを非表示/違反報告)
うさぎ(プロフ) - またまたコメント失礼します！ 完結、おめでとうございます(*^o^*)作品更新の通知が来るたびに\(//∇//)\ってなってたので笑 少し寂しいようにも感じますが、これからも主様の作品を読んで、元気を貰おうと思います‼︎ (2021年10月18日 21時) (レス) @page32 id: d1ce909995 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - manaさん» コメントありがとうございます！お待たせしましたー！ (2021年8月30日 23時) (レス) id: 7ef5ab0f96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あい | 作成日時：2021年8月30日 10時
