私の幸せ[銀魂‐坂田銀時]

44.熱 ページ45

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その日はとても嫌な予感がした。


珍しくもないが夜中に目が覚めて、隣の桜を見た。


特に変わったところもないように見えたが

確実に、温度が普段と違う。


うわぁ、こりゃやったな。


それだけで、瞬時に目が覚める銀時パパ。


タンスから掛け布団をもう1枚取りだして

桜の上にさらにかける。


起こさないようにそっと部屋を出て

氷枕と体温計、水分とゼリーと薬とタオルを持って部屋に戻る。


そっと差し込んだ体温計の数字はそりゃ凄い。


インフルでも貰ったか？

マスクつけさせてたんだけどなぁ。


とりあえず、汗だくになった桜を着替えさせようと少し桜を起こす。



｢やぁー･･･うぅ･･･｣



そりゃもうぐずるぐずる。


普段そこまで手がかからなくても

夜起こされるのとか、体調が悪いのとか、そういう時はぐずる。



｢着替えような。汗気持ちわりぃだろ｣



タオルで汗を拭いてやって

新しいパジャマを着せる。


ぐずぐずしながらも着替え終わると

俺の膝の上に乗ってくるこの甘えん坊。


脱いだパジャマをまとめて

氷枕を設置する間、自分をゆらゆらと揺らす。


直ぐに聞こえてくる規則的な寝息。


とんとんと一定のリズムで背中を叩けば

すぐに体が重くなる。


簡単に引きそうにない熱を心配しながら

とりあえず今日はこのまま関節を冷やして寝かせよう。


こいつがこの世で一番嫌いなものは病院だからな。


ゆっくりと自分から離して

桜の定位置に戻そうとするが、ギャン泣き。


うそん。

最近はあんまりなかったのになー。


下ろしたら泣くとか、久しぶりに見たそんな姿が嬉しい。


パパは嬉しいぞ桜。


はいはい、とまた桜を抱き上げて揺らしながら寝かしつける。


夜泣き、比較的酷いほうではなかったんだろうけど

それでもやっぱり大変だったのを思い出す。


母ちゃんってすげーよなー。

あんな眠れねぇ状況で朝になったら家事すんの。


俺、家事はその頃特に新八任せだったしなー。


俺にゃ無理だな。


Aがいたら、一緒に起きて

俺が寝かしつけて、育児手伝ってって、してたのか。


今じゃ予想も幅広くなってしまうその妄想に

口角が上がった。


熟睡した桜をやっと氷枕の上に乗せて

安心させるようにとんとんとしながら俺もまた眠りにつく。


明日も大変になりそうだなぁと思いながら。

それでも、桜のためだから、なんだって出来る、と思いながら。


ぎゅっと俺の手を握る小さな手をそっと撫でた。


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