私の幸せ[銀魂‐坂田銀時]

29.おかしい人 ページ29

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｢神楽ちゃん、そんなに食べちゃお腹壊すよ｣


｢大丈夫アル、食べない方がひもじくて嫌ヨ｣



あれから何日か経った日、

神楽ちゃんと新八くんを銀時が連れてきてくれた。


3人とも、いつも通りで。

楽しそうに笑ってくれた。


私の体の変化にも、何にも、嫌な顔もせず

ただ、笑って受け入れてくれた。


私が渡したお小遣いで購買に行った神楽ちゃんは

すごい数のお弁当を買ってきて、美味しそうに食べる。


さすが夜兎族、と彼女に何度驚かされたか。



｢今日は大丈夫かよ、その、体調は｣


｢うん、お散歩にも行けそうなくらい｣


｢･･･外、出てぇか｣



不器用な銀時の質問にそう答えれば

銀時は困ったように質問してくるから、私はただ微笑んでみた。


半分ほど開く窓から運ばれてくる風は

何だかあまりにも少なくて、足りなくて。


外の冷たい空気に触れたい。

春の桜や、夏のひまわり、秋のコスモス、冬のスイセンが見たい。


太陽の下に行きたい。


何度も思ったけれど、もう無理なのは理解してる。


この管が、1本でもなければ私は死ぬもの。


既に機能を失った部分がいくつもある。


でも、死ぬ前に、月くらい綺麗に見たかったな。


自然の有り難さなんて、知らなかったから。



｢･･･おい、神楽、新八、飲みもん買ってくるぞ｣


｢え、1人で行けばいいじゃないですか！それに飲み物ならさっき｣



私の表情を見ていた銀時は

唐突に2人にそう言って、私に待ってろと伝えて出ていった。


飲み物ならさっきたくさん買ってきてくれたのに。



｢おかしい人ね、あなたのお父さん｣





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