乃木双葉は勇者であるｰｰ鷲尾須美の章･弐ｰｰ (ページ31)

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12話ページ31

須美side

その頃、私達の身に不可思議な出来事が起こっていた

須美「足が…」

仰向けの状態から身体を起こそうとするが、身体が言う事を効かない

そんな両足を不思議に思いながら両足を見詰めた

すると、細長い白い帯のような物が後頭部から伸びて来て動けるように援助してくれた

－－

園子side

園子「あれ？目が…」

不思議に思い、見えなくなってしまった右目に優しく触れる

右目付近に違和感が生まれたが、それが一体何なのか違和感の正体は見て取れなかった

須美「ふたっち！！」

わっしーの叫び声に反応してバーテックスと交戦しているであろうお姉ちゃんの方を向くと、目を閉じて真っ逆さまに落ちているお姉ちゃんの姿

それと、その上から沢山の火球を作り出し攻撃を仕掛けようとしているバーテックスの姿もある

園子「お姉ちゃーん！！」

－－

2人の私を呼ぶ声が聞こえ、飛んでいた意識が戻る

何しているの私…、今は戦闘中よ

休んでいる暇などない

目を見開き現状を把握する

目の前には、ラスボス風のバーテックスと無数の火球

地上には、満開が解けた園子とわっしーがその火球を出来るだけ多く潰して回っているが、数が多い為殲滅までとは行かない

現状把握を終えると、一度体制を立て直してもう一度"満開"を使う

須美「…そのっち！ふたっちの援護に行くわよ」

園子「うん！」

須美･園子「｢満開っ！！｣」

2人も満開した為、何とか体制は元に戻った

その間にも着々と樹海の侵食が進んでいる

わっしーは複数の銃を使って火球を撃ち落とし、園子は槍の穂を使って火球を退け、私は御札を火球に目掛けて飛ばして撃墜する

各々火球の処理を順調にこなしているように思えたが、突如バーテックス本体が巨大な火球を作り出し勢い良く放って来た

須美「しまっ…！」

気が付いた時には既に遅く、もう既に反撃が出来ない所まで近づいていた

双葉･園子『｢わっしー！！｣』

＿お願い…わっしーを守って！

そう念じながら数枚御札を飛ばすと、念が届いたのか今度は燃えずに巨大な火球に貼り付いた

園子が穂を器用に駆使してわっしーの前に盾を作る

火球が直ぐ近くまで迫り、辺りが茜色に染まって強風が吹き荒れる

その為、船が不安定な状態になり何とかその場で踏ん張っていると隣から聞き慣れた悲鳴が聞こえた

双葉『園子！』

一瞬の隙が命取りだった

余所見をしている間に踏ん張っていた足が無意識の内に緩み、軽々と飛ばされてしまう