乃木双葉は勇者であるｰｰ鷲尾須美の章･弐ｰｰ (ページ11)

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5話ページ11

バーテックスが私達の猛攻をもろに喰らった事により、下部分がボロボロと崩れていく

すると段々と景色が変わり、無数の光の粒が溢れ出た

鎮花の儀が始まったのだ

だが、何故かあの不適な笑みを浮かべた顔部分だけは残っていた

寝そべりながら荒くなった息を整え、変わっていく景色を眺める

毎度のように傷だらけになってしまったが、敵を退ける事が出来た

園子「やったよ！ミノさん…」

須美「銀、見てたかな…？」

光の粒に紛れて、顔部分が消えていくのを見送り、不安そうに呟くわっしーに答えるように口を開いた

双葉『見てたよ、きっと…』

確信がある訳ではない

でも、絶対銀はこれからも私達の事を見守ってくれる

そう思っているから

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須美side

樹海化が溶けた後、冷たい雨粒が正装を濡らしベタベタと身体にこびり付いているのを感じた

そこで、会場の外に出されている事に気付くが、今の私達には動く力も残っていなかった

突如、雨の冷たさがなくなり濡れた芝生に影が落ちた

不思議に思いながら見上げると、傘を持って心配そうな表情をした安芸先生の姿が見えた

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その後、安芸先生の運転する車に乗せて頂き家まで送り届けて貰う事になった

安芸「…3人共、辛い中お役目ありがとう」

運転席から安芸先生はそう声を掛け、俯きながら返事を返した

園子「今何も出来なかったら、それこそミノさんに怒られちゃう…」

安芸「…あのね！」

運転席の方から今までに聞いた事のない安芸先生の声がして、俯いていた顔を上げる

安芸「…いえ、怖い思いを沢山して、悲しい事もあったのに、貴方達は大変なお役目としっかり向き合っている。3人は正(まさ)しく勇者だわ」

わっしーと私はまた俯いてしまったが、園子は困ったように笑みを浮かべた

園子「先生にこんなに褒めらたのは初めてかも…」

双葉『けど1番凄いのは…銀、ですよ。たった1人で3体追い返したんです…っ……』

涙声になりながらも言葉を紡ぐと、それに続くように園子も言う

園子「だから…、ミノさんのこと忘れないであげて」

段々と目尻が熱くなり、暫く堪えていた涙が溢れてくる

それを手で拭いながら園子は言葉を続けた

園子「強かったから…凄かったから…！私達3人じゃなくて4人勇者何だから……！」

安芸「ええ…」

車内には私と園子の泣き叫ぶ声と、わっしーの押し殺した泣き声が響き渡った

安芸「…ごめんね、訂正する。4人共勇者よ」