☆心臓が苦しくて ページ7
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カシャンと音を立ててハサミが落ちた。
…指切れちゃったな
隼「何の音?」
『…ごめんハサミ落としちゃった』
亜「大丈夫?指とか切ってない?」
『あ、切れちゃいました…』
玲「A絆創膏貼るから見せて」
『大丈夫だよ笑 ちょっと御手洗い行ってきてもいいですか…?』
亜「全然いいよ!」
『ありがとうございます失礼します』
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…あの日から数日経った今でも、この調子
毎日毎日壱馬くんのことを考えて
どうやって謝ろう、どうやって話そうって考えて、ずっと眠れてない
事務所の中で会っても、もう本当に他人の様に目線すら合わせてもらえない。
こんなに簡単に呆気なく終わってしまうの?
…そんなの嫌だよ
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私は手を洗ってメイクルームに戻ろうと帰る途中、何か飲み物を買おうと思って
自販機に向かった。
『…えっと10円10円』
いつもの癖で小銭をポケットに入れてしまう私は、お茶を買うお金を出して数えてた。
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” 里保さ…… ”
” そうゆう壱馬だって…… ”
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…聞き間違いなんかじゃない
向こうから近付いてくるこの二つの声は
壱馬くんと園川さんだ
心臓がぎゅっと、誰かに掴まれたみたいに苦しくなった。
今すぐここから逃げたいと思っても
足が言うことを聞かない。
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そんな時
力が入らなくなった私の手から
持っていた小銭が落ちてしまった。
チャリンチャリンという乾いた音に気付いた二人がこっちを見て。
…一瞬、目が合った
でもその目は、あの日最後に見た
悲しみや苦しみが伝わってくるような
今にも泣いてしまいそうな目だった。
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園「桃瀬さん大丈夫っ?」
気付けば、園川さんが来て落ちた小銭を拾ってくれていた。
『…あっごめんね大丈夫』
?「俺が拾うからどいて」
私も拾おうとしゃがむと、後ろから声が聞こえた。
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作者名:もも | 作成日時:2017年8月22日 0時