結婚してみた【浦島坂田船】

・ ページ7

「はい、これ着て!!」



そう言って差し出される紙袋。



中身は服だと思われるけど、ちょっと心配。



「…誰が選んだ??」



「センラ!!せやから、安心して着ろ!!」



どうやら全てを察してくれた様子。



まぁ、正直うらたくんが選んだ服が一番安パイなんだけれども、センラさんなら基本大丈夫。



「…すごい、緑」




中に入っていたのは深緑のワンピース。




前ボタンになっており、胸元までレースになっていて、デザインとしてはかなり可愛い。




スカート部も360°以上とみられ、風でかなり膨らんで、大きく広がる。




「こんでいいの??」




「ん、着れて緑ならなんでもオッケー!!」




「それ、うちの豆乳…」




「喉渇いたからもらった!!」




そういいながら、慣れた手つきで豆乳を冷蔵庫に戻す。




もしかしたら、うちの旦那より家の事情に詳しいかもしれない。と心の中で思う。




「よっしゃ、しゅっぱーつ!!」




ここまで来れば、もう大人しくついていく。




「ていうか、Aって結婚してからもうらたくん呼びだよね」




「うん。だって苗字じゃないし、変える必要ないかなって」




「たしかに。必要ないかも」




なんて移動中に話す。




現在はペンライト持たされ、会場の中で登場待ち。




なにげに、同じ家に住んでいるのにすれ違いまくった結果、多分一ヶ月近く姿を見ていない気がする。




朝は私のほうが早く家を出て、夜は彼が遅く帰ってくる。




こんな感じの生活だった。




一ヶ月ぶりの自分の夫に会うのが、まさかの本人のライブ。ということに少し虚しさを感じた。

・→←さみしい　うらたぬき

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す