拝啓ブライズメイドの君へ【センラ】

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「その後悔、また繰り返そうとしてるんや。ええの？」





言葉に詰まる。






「こんな話知ってる？大人になってから、あと何回親に会うか計算できるって話」






首を横に振る。






「例えば、22で就職して、家出たとするやろ？ほんで、親がそん時47として、1年に一回しか会いにいかないって仮定すると、親が85まで生きたとして、あと何回会える？」





頭の中で、85−47という計算をする。





「38…」






「そうやね。2ヶ月って、1ヶ月30日として、何日間ある？」






「ろくじゅう、にち…」






「毎日行くのは難しいかも知れへんけど、今たくさん会いに行けば、もしかしたら普通に一生終えるよりたくさん会えるかも知れへんのわかる？」






言われるまで、計算なんかしたことなかった。






こうやって考えてみると、この長い人生の中で、母と過ごす時間は1ヶ月程度だった可能性があることに衝撃を覚える。






「考え方を変えてみ。今の状況のお陰で、予定より多くお母さんに会えるかも知れへんで？しかも、期間が決まってるなら、なおさら今のうちにいかなあかんやろ？」







父と違って母には余命がある。






突然いなくなってしまわない確証はないけれど、でも、幾分かは保障された事実。






「行く気になった？」






そう言って、優しい笑顔で見上げてきた。






「なった…」






こらえていた涙がポロポロと溢れ出す。






もう、瞬きをしなくても目から滑り落ちていく。






「ほら、泣きよらんと。明日ブサイクになるで？な？」






そう言って、指で私の涙を拭う手はとても優しかった。






初めて、何もせず眠った日になった。

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