落ちて、先輩

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「なんの列ですか？これ」

『あ、ここね、新しく出来たタピオカ屋さん。中でドーナツとか売ってるんだ』

「へぇ…タピオカですか。」

『うらたくん飲んだことある？』

「まぁ1度はありますよ。………行きたいんです？」

『うー…並ぶ時間もったいないって思っちゃう』

せっかく一緒に居れるのに、と言われた
僕は先輩となら並ぶ時間さえ尊い。

『並んでもいい？』

「はい、いいですよ」

僕は笑って承諾した。
少し沈黙が続いて先輩が恥ずかしそうに話し出した

『なんかカップルの人…多いね…』

「そうですね」

『目の前でイチャイチャされると恥ずかしくなっちゃうな』

なるほど。
そんなに気にしてなかったけど確かに並んでる人達は殆どがカップルでイチャつきながら時間を潰している。

「僕らもやります？」

『え、え！？』

「男女二人でこの列並んでるのにイチャついてない方がおかしく見えますよ」

『そ、そう…だね』

どうやるの？というのような目を向けてきたので手を繋いでAさんを引き寄せた

「可愛い」

『っ！！！うらたくっ…ちょ、…恥ずかしい』

「真っ赤だね？」

敬語を外してみた。
全部ゆでダコみたいになってる、本当に可愛い。

『そ、そんなこと、ないもん…』

「暑いの？」

『あつい…』

ふふ、と思わず声を出して笑ってしまった。

『わ、わたるくん…』

「へ？」

誰だ名前呼んだの
と言ってもこの天使の声は先輩以外いない。

不意打ちされた

『…ごめん、やっぱり慣れない…』

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