〇優しい ページ4
「……寂しい？」
「なんとなくですけど……そう感じたんです。詩音さんの歌声」
全く意識をしていなかった詩音は「そんなことないです」と言おうとした。
だが本人が分かっていないだけで、それが本心だ。
その証拠に口は一星の意見を否定したくないかの如く動かない。
それに気づいた一星はこう問う。
「詩音さん」
「……はい？」
「さっきの話に戻るんですけど、詩音さんは自分の育った環境をどう感じていたんですか？」
「わたしは……」
彼女はそこで口ごもった。
自分が好きなことを好きだと思ってやっていた時はとても暖かいイメージがあった。
でも、今思い返せば……
「色の無い、家庭……」
「……え？」
今の自分には過去の生活をどのように感じていたのかが分からないのだ。
それこそつらかったのか、楽しかったのか、嬉しかったのか、悲しかったのかも。
「俺は、詩音さんの家族も優しかったんじゃないかなって思います」
「……え？」
なぜ？と目を丸くして聞く詩音に一星は笑いかけた。
「だって、詩音さんはいろんな人を助けてきたじゃないですか」
一星が円堂に棘のボールを売った時に自らのボールでシュートの起動をかえたり、オーストラリア戦で坂野上を押し倒したり、ロッカーや湖のほとりで灰崎の拳から一星を守ったり、事故にあいそうな子どもを助けたり。
無意識ではあるが、咄嗟にとっていた行動はすべて『誰かのため』になっている行動だった。
「だから、詩音さんは優しい人だと思います」
「……そう、ですか」
そう呟いた彼女の声は雨の音に溶けてしまった。
「……そろそろ戻りましょうか」
「はい」
詩音がそう言ってベンチを立つと、また傘を持たずに宿舎へ歩いていく。
その後ろ姿が今にも消えそうな気がした一星は思わず詩音を引き止めた。
「詩音さん！」
「……はい？」
振り向いた詩音のポニーテールがピタリと肌に張り付いた。
一星は悲しそうな顔で小さく、でもハッキリと言った。
「俺たちを、頼ってください」
「！」
『誰かを頼らなければ、人は壊れてしまう。
しーちゃんには壊れて欲しくないんだよ。
いいかい？頼れる人に寄りかかりなさい。
[抱えきれないものを背負おうとしたらダメだよ]』
＿＿＿＿頼り方が分からないのに、どう頼ればいいの？
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おまんじゅう(プロフ) - 星猫さん» プロフから行けるボードに書き込んでおいたので良ければそちらを参照ください！！お話等もそちらを使っていただければ幸いです。お手数お掛けしますが、よろしくお願いしますm(_ _)m (2021年9月7日 18時) (
レス) id: e52fd62a9b (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 知ってるアニメは何ですか？ (2021年9月7日 18時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
おまんじゅう(プロフ) - 星猫さん» 高評価、ありがとうございます！！これからも応援宜しくお願いします！！ (2021年9月7日 18時) (レス) id: e52fd62a9b (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - はじめまして!とても素晴らしいです!高評価しました! (2021年9月7日 16時) (レス) id: 8c51e3f139 (このIDを非表示/違反報告)
いっちゃん - 返信ありがとうございます！最高ですね！次回も楽しみにしています！ (2021年9月2日 6時) (レス) id: f751d7262a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おまんじゅう | 作成日時：2021年8月19日 10時
