検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:6,468 hit

37.長期戦は大変です。 ページ38

元から覚悟していた長期戦。実際にこの戦いは長引いているし、まだまだ続きそうだ。……それこそ、私が相手に『火の鳥』というあだ名をつけるほどに。
 火の鳥には水が効く。分かりやすいけど、それはうまく立ち回れたらの話。私の魔法の命中率は半分といったところ。今のところ、火力に1番貢献しているのは蒼太だ。男性陣の武器に冷却効果をつけながら、火の鳥にうまく矢を当てている。
 気になるのは理紗とウィンドウ。なんだかさっきから表示が遅い。理紗の反応も遅れている。さっき言ってた何かを気にしているのかな。それでも健と蒼太にバフと回復をかけている。
 私も何発か攻撃をくらって、何度か回復してもらった。痛みや疲れが引いて、動き回って減っていく酸素を補充してくれるような……本当に、『回復』としか言いきれないような、心地よい感覚。
 私だって、あまりやってない妨害魔法を使ってみたりして、どうにかしようとしている。速度を落とす『重力』の使い勝手がいいけれど、クールタイムが長い。
 はっきり言って苦戦している。そして、なんだか嫌な予感がする……

「うわっ!」
数分後、突然聞こえた声の方を見ると、蒼太が倒れていた。そこに追撃しようと火の鳥が動く。
「避けてっ!Acqua-Rosso-primo!」
水魔法を相手と蒼太の間を狙って放つ。火の鳥との距離が広がった。
「いったん下がれ!」
健が叫ぶ。何がきっかけで倒れたのかは分からないけど、今の蒼太の体力が低いのは分かる。下がるのはいい判断。とりあえず回復を……
「えっと、回復、」
「危ない!」
理紗が呪文を唱えようとすると、火の鳥がこっちに突っ込んできた。気を引こうとしていた健を無視して、蒼太を狙っている。本人は火の鳥に背を向けていた。
 とっさに理紗を後ろに隠す。理由のひとつは、攻撃から守るため。大事な、唯一の回復役だから。
 そして、もうひとつは。

「蒼太ッ!」
予想してしまった最悪の事態を、見せないため。
 声にならないうめき声、らしきものをあげてその場に倒れる。傷はついていないし血も出ていない。私が見た限り、火の鳥に思い切り蹴られたのだろう。火の鳥は満足気に空中に戻る。

 健が駆け寄った瞬間、それは起こってしまった。

38.戦闘不能……?→←36. ……違う。



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (22 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2人がお気に入り
設定タグ:ファンタジー , 名前変換オリジナル , オリジナル   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

シュウ - 待っ…面白いです! (2021年9月3日 0時) (レス) id: f920010a89 (このIDを非表示/違反報告)
- 読んでいて楽しいです!こんなおもしろい作品をつくってくれてありがとうございますっ!これからも応援してます! (2021年5月8日 20時) (レス) id: b0074abe1a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:みーちゃん | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年11月30日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。