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32.乗り越えたもん勝ち。 ページ33

私たち4人の間に新しく生まれた絆は、テストなんかで切れやしない……とカッコつけたら大げさすぎるか。とにかく、私たちには『勇者(ゲーマー)』という繋がりがあるんだ。その証拠が、例のストラップ、なんだけど……
 デザインが良くない。いいんだけど悪い。あれを見てるとなんだかうずうずして、(ゲーム内で)暴れたくなる。例えば武器を手にモンスターと戦ったり、パズルで顔も見えない相手と対戦したり、それこそ得意のシューティングで敵を撃ち落としたり。ああ、戦略勝ちしに行くのも悪くない。これだからゲームが好きだ。けれどもテスト前にはやらないようにしている。これでも節度を持てている方だと思う。

 なんだかあのストラップを隠してしまいたい。見たくない。勉強の邪魔になる。でもそれはいけない。これだけはダメだ。そんな思いが渦巻き続ける。
 私は問題のそれを、財布の中にしまい、見えないけれど取り出せるようにして持ち歩くことにした。カバンに直接付けるのは目に毒だから。

「…………という感じで対策してる」
「確かに、やりたくなるよね……」
私の言葉に共感してくれたのは、隣に座る理紗。健と蒼太も頷いてくれた。
 ここは教室、ではなくて私の家。私たち4人組は、テスト前の土曜日によく勉強会をしている。今日の会場は私の家で、リビングの机いっぱいに勉強用具が広がっている。プリント、ファイル、シャーペン、ノート、あとお菓子。教師役は蒼太で、主な生徒は私と健。理紗の成績はいわゆる"中の上"で、平均を下回ったことはないらしい。

「えーっと、次は……」
雑談を済ませて数学の問題集に視線を落とすと、最近になって意味が分かってきた数式と、未だに意味がわからない数式が並んでいた。さ、最大値?
「蒼太、これ教えてー」
向かい側に座る男性陣に問題が見えるようにする。
「舞、そこまでやったのか!?もう半分!?」
「健くん大丈夫?半分いってないのってちょっと遅くないかな……?」
「だってわかんねーんだよ」
「だったら言って、夏の補習にだけはかからないようにしてよ……去年は……」
補習のせいでゲームができなかったり出かける予定が狂ったり、いろいろあったことを連ねていく蒼太。
「オカンかよーー!」
健の突っ込みで、私たちは笑いに包まれた。

33.良いのか悪いのか。→←31.避けられない試練です。



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作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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シュウ - 待っ…面白いです! (2021年9月3日 0時) (レス) id: f920010a89 (このIDを非表示/違反報告)
- 読んでいて楽しいです!こんなおもしろい作品をつくってくれてありがとうございますっ!これからも応援してます! (2021年5月8日 20時) (レス) id: b0074abe1a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みーちゃん | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年11月30日 21時

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