No.59 〜兄弟〜 ページ22
◇
『ねぇ、冴と凛ってなんで仲悪いの？』
彼女はケーキを食べ終え、コーヒーを飲みながら思い出したように冴に聞いた。
「あ？」
『いや、凛がさクソ兄貴って言ってたから仲悪いのかなーって。でも昔はそうでもなかったでしょ？』
「なんでそう思う」
『私、冴がレ・アールの下部組織に来るって決まった時、日本での試合映像にありのは全部確認してるし。一緒にサッカーしてたの凛でしょ？私、冴ももちろんだけど、凛も絶対世界に来るって思ったし』
Aはコーヒーカップを持っていない方の手で頬杖をつき、外を見る。
「…お前のそういうの当たるよな」
『まぁね。冴は？もうストライカーは目指さないの？』
「…Aは1番分かってるだろ」
『…それが凛との喧嘩の理由？』
「…まぁ、そんなとこだ。つかアイツが一方的に突っかかってくるだけだ」
『そっか。
凛、この前“いい眼“してたよね』
「…あぁ」
Aが冴を見ると、冴は懐かしそうな顔をして外を眺めていた。彼女はクスッと小さく微笑むと同じように外を眺めた。
冴とAは青い監獄でのことや、その前のU-20戦のことを話していた。やはり冴が凛ではなく士道を選んだ理由はAが予想した通りだったようだ。
『まぁ、その気持ちわかるよ。私も凛から四次元ポケットの話された時ちょっとワクワクしたし』
「…凛とどんな話してんだよ。つか、それとは違ぇよ」
『え、よく分からないからワクワクじゃないの？』
「…。」
一緒だったが何故か一緒だと言いたくなかった冴。はぁ、とため息を吐く。
「…凛と仲いいのか？」
『え、あぁ、そうだね』
「…
(Aは基本誰とでもフレンドリーで仲良くするタイプだし、そんなやつは数えられないぐらいいる。だけど、なんでそんな顔すんだよ…)」
険悪な顔をする冴と違い、Aは少し恥ずかしそうに頬を掻きながら微笑む。誰かと仲いいのかと聞いたとき、こんな顔の彼女は初めてみた。
だから分かってしまった。ただ仲がいいだけの関係じゃないんだと。
それはここ何年も彼女を想ってきた冴にとって予想だにしないことだった。
next…
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ひゅーまん - 私もこの作品大好きです、！投稿頑張って、です！♩ (1月6日 19時) (
レス) @page4 id: 4488d94be9 (このIDを非表示/違反報告)
yU-Mi(プロフ) - アオウサギさん» ありがとうございます！更新頑張ります(感謝) (2023年4月14日 23時) (レス) @page3 id: b5df0d270f (このIDを非表示/違反報告)
アオウサギ(プロフ) - もう大好きです！！！更新頑張って下さい！！！！！！ (2023年4月13日 22時) (レス) @page32 id: 42e17b849f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yU-Mi | 作成日時：2023年3月14日 16時
