〈探偵チームkz事件ノート〉~出会いの物語は知っている~

第24話~皆の推理　１~ ページ28

(人1)視点

上杉さんの推理が始まった。

上杉「考えられるのは、3通りだ」

上杉さんがレンズの向こうで、するどく目を光らせた。

上杉「第1は単なる乗り逃げ。第2は若武に恨みを持ってるヤツの嫌がらせ。第3は生徒の規則違反を発見した秀明の教師、あるいは先輩が見せしめのために隠した。…以上」

鮮やかなこの推理に、みんなが一瞬唸った。

もちろん、私も。

さすがは数学の天才だねっ！

小塚「先輩や先生を疑うの？」

小塚さんがボソッと言うと、若武さんがジロッと睨んだ。

若武「捜査に、感情は禁物だ」

小塚「だって、先輩達はその時間はまだ授業終わってないだろ」

上杉さんは、首を横に振った。

上杉「早退するってこともあるだろ。欠席とかさ」

黒木さんが、ふっと口をひらいた。

黒木「それなら、話は簡単だ。今日欠席および早退した先輩を調べる。それから教師が見せしめに取り上げたのなら、明日にでも秀明側からの発表があるはずだ。それを待てばいい」

私はうなずきながら、さっきから考えていたことを言った。

貴方「第1のセンですが、あの場所って人があまり通らないところなんですよね？乗り逃げはあまり考えられないような気がします…」

すぐさま若武さんが言った。

若武「それなら第2のセンも薄いよ。俺があのチャリに乗ってきたのは今日が初めてだ。あれが俺のだって知ってるヤツは、ほとんどいないはずだもん」

私達の捜査は行きづまってしまった。

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