君をこの手で包みたい

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ﾋﾟｺﾝｯ


安〈ごめんなぁ、風邪ひいてもうた〉


あーあ、じゃあ今日は1人かぁ。


『あ』

大「………ﾌｲｯ」


また、カレーと天丼。


そして1人。


『丸山くんは？』

大「風邪」

『そう』

大「お友達くんは？」

『風邪』

大「ふーん」


興味なしか。


『……あのさ』

大「うん」

『………』

大「なに？」

『…いや、やっぱいい…』


そう言って、自分のご飯に手をつける。


大「このあと授業は？」

『え？…1コマ空きでそのあと1時間だけ』

大「………授業終わったら自販のとこ居といて」

『えちょっと、大倉くん？』


残りのご飯を勢いよくかき込んで、

大倉くんは行ってしまった。


『結局ぼっちですか…』


麗奈さんのこと、聞きたかった。


先《えー、じゃあこの文章翻訳してー》


大倉くんはなにを考えてるんだろう。


先《じゃあ次回までにここの単元まとめて提出なー》


また、全然頭に入らなかった。


『大倉くん』

大「ん、おぉ」

『お待たせ』

大「ええよ」


立ち上がった大倉くんは何も喋らず歩き出して、

何を話したらいいかわからない私はその後ろを着いて行った。


『え…』

大「ん？入らへんの？」


着いた場所は図書館。


『なにするの？』

大「なにって…図書館は勉強する場所ちゃうん？」


勉強？勉強するの？今から？


『大倉くん…』

大「今日の授業でわかんなかったとこ、出して」

『……なんで？』

大「なにが？」

『なんで急に勉強なんて…』


まだ私の頭がついていっていない。


大「勉強教えてって言ったんはお前やろ？」

『私ってか…章ちゃんだけど』

大「はよやるで」

『…はい』


向かいあわせで座って、

私のノートと教科書を広げる。


大「……この勉強会さ」

『ん？』

大「…内緒な？」

『…！…………はい』


"内緒"なんてそんな言葉、

ずるい。


ずるいに決まってる。



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