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コンコンッ


母『はーい』


いつもより早い時間にドアが叩かれた。


??「初めまして。私、吾妻 花です。」


一目見て、なんとなくだけど感じたことがある。


『花ちゃん?』

花「あ、Aさん…こんにちは」

『ママ、Aの友達』

母『お散歩行ってくるわね^^*。ごゆっくりどうぞ』


この子なら平気だ。


大丈夫。


『どうしたん?』

花「その…手術のこと聞いて…」

『へー。Aなんかされるんかと思ったわ』


なにを話せばええんやろう。


『たぁくんと付き合ってるんやろ?』

花「…はい」


この子の唯一の欠点は、弱いところ。


Aも人のこと言えんけど。


『正直、最初花ちゃん見た時はなんでこんな子って思ってん。Aの方が断然可愛いし』

花「はい」


ほんまはこんなこと言いたくない。


『けど、たぁくんのあんな変わりよう見たらもう口出しできひんわ…5月ぐらいからずっとたぁくん来てくれててな』

花「知ってます」

『5月末くらいからかなあ?手術しようって言ってきて』


強くなって、ずっとたぁくんの傍におって。


『Aは嫌やって言ってるのに、毎日毎日…』

花「なんで、そんなに嫌がったんですか?」

『死ぬの怖いもん』

花「ぁ…」

『普通やろ?誰でも死ぬのは怖いはずやと思ってんけど』


今も昔も、ずっと死ぬのが怖い。


『Aが嫌ならしなくてもいいと思うって言ってきて』

花「はい」

『それでA、そこで初めて弱音吐いてん。死ぬのが怖いって…泣いてすがったらたぁくんが味方になってくれる。正直そう思った部分もあった。』

花「……はい」

『けど、全部無駄やった。たぁくんなんて言ったと思う?』

花「え、いや…わかりません」

『記念日やから俺行かなあかんって』


〜〜〜〜〜


『A死ぬの怖いもん!!たぁくんとまるちゃんと、もっと一緒に居りたい!!!(泣)』

大「…A、俺花ちゃんのとこ行かな」

『またあの子の話?!(泣)』

大「…今日、記念日やねん」


〜〜〜〜〜


あんなこと言われると思わなかった。


『あんな顔であんなこと言うたぁくん初めてやった』

花「…」

『今でも毎週決まった曜日に図書館に行ってて…』

花「えっ…」

『ん?』

花「…大倉くんと私、図書館で勉強してて…けど今は距離を……」

『…大事にされてるんやね』


完敗や。


今までの努力やらなんやら、

アホらしくなって自然と笑いがこぼれた。



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作者名:ゆりかご | 作成日時:2021年6月19日 20時

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