11 ページ11
.
コンコンッ
母『はーい』
いつもより早い時間にドアが叩かれた。
??「初めまして。私、吾妻 花です。」
一目見て、なんとなくだけど感じたことがある。
『花ちゃん?』
花「あ、Aさん…こんにちは」
『ママ、Aの友達』
母『お散歩行ってくるわね^^*。ごゆっくりどうぞ』
この子なら平気だ。
大丈夫。
『どうしたん?』
花「その…手術のこと聞いて…」
『へー。Aなんかされるんかと思ったわ』
なにを話せばええんやろう。
『たぁくんと付き合ってるんやろ?』
花「…はい」
この子の唯一の欠点は、弱いところ。
Aも人のこと言えんけど。
『正直、最初花ちゃん見た時はなんでこんな子って思ってん。Aの方が断然可愛いし』
花「はい」
ほんまはこんなこと言いたくない。
『けど、たぁくんのあんな変わりよう見たらもう口出しできひんわ…5月ぐらいからずっとたぁくん来てくれててな』
花「知ってます」
『5月末くらいからかなあ?手術しようって言ってきて』
強くなって、ずっとたぁくんの傍におって。
『Aは嫌やって言ってるのに、毎日毎日…』
花「なんで、そんなに嫌がったんですか?」
『死ぬの怖いもん』
花「ぁ…」
『普通やろ?誰でも死ぬのは怖いはずやと思ってんけど』
今も昔も、ずっと死ぬのが怖い。
『Aが嫌ならしなくてもいいと思うって言ってきて』
花「はい」
『それでA、そこで初めて弱音吐いてん。死ぬのが怖いって…泣いてすがったらたぁくんが味方になってくれる。正直そう思った部分もあった。』
花「……はい」
『けど、全部無駄やった。たぁくんなんて言ったと思う?』
花「え、いや…わかりません」
『記念日やから俺行かなあかんって』
〜〜〜〜〜
『A死ぬの怖いもん!!たぁくんとまるちゃんと、もっと一緒に居りたい!!!(泣)』
大「…A、俺花ちゃんのとこ行かな」
『またあの子の話?!(泣)』
大「…今日、記念日やねん」
〜〜〜〜〜
あんなこと言われると思わなかった。
『あんな顔であんなこと言うたぁくん初めてやった』
花「…」
『今でも毎週決まった曜日に図書館に行ってて…』
花「えっ…」
『ん?』
花「…大倉くんと私、図書館で勉強してて…けど今は距離を……」
『…大事にされてるんやね』
完敗や。
今までの努力やらなんやら、
アホらしくなって自然と笑いがこぼれた。
.
165人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆりかご | 作成日時:2021年6月19日 20時