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Aside
うそうそうそうそうそうそ…。
タタタタタタタタタッ…タタタタタッ…
〈章ちゃん!〉
〈やばい!〉
メッセージを送って、
ロッカーに荷物を詰め込む。
カバンから鏡を取り出して、
変なところがないか確かめる。
ピコンッ
安〈丸山くんから聞いたで〉
安〈頑張ってな^^*〉
え!それだけ?!
『ごめんっ、お待たせ』
大「おん、行こか」
どこ、行くんだろう…。
大「どこ行きたい?」
『えっ……えーっと…』
家とかは絶対キモがられる。
やめよう。
『……特別…じゃない所』
大「…俺の家?」
何故そうなった。
けどまぁ、まぁ大倉くんから言ったことだ。
私は絶対にキモがられない。
『うん』
大「ん。ちゃんと捕まっといてな」
大倉くんの腰に腕を回して、
お腹の前でギュッと手を握った。
大倉くんの背中、相変わらず暖かい。
『…好き…好き…』
周りの音でかき消されるくらいの声量で、
1番伝えたい言葉を練習する。
大「…い?」
『え?』
大「寒ない??」
『うん、大丈夫』
大倉くんの声も、あんまりよく聞こえない。
不意にウインカーをあげる音が聞こえて、
アパートの敷地に入った。
大「降りれる?」
『うん、ありがとう』
大倉くんは変わらずバイクを傾けてくれる。
本当に優しい。
大「ごめん、めっちゃ散らかってる。」
『大丈夫だよ』
大倉くんの部屋は何回が来たことがあるけど、
あんまり変わってなかった。
けど、いくつかダンボールが重なっていて、
胸が苦しくなった。
『…留学、しちゃうの?』
大「え?」
やば、声出た。声震えた。ださい。
『ごめ、なんでもな……なんでも………ない…(泣)』
大「え、あ、ちょ…」
なにやってんだ私。
こんなつもりじゃなかったのに。
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作者名:ゆりかご | 作成日時:2021年5月23日 2時