初恋は大人味 (ページ19)

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大倉side

「ちょ、姉貴なんなん？」

姉貴が喋り出すとAちゃんは走ってどっか行ってもうた。

と「大倉くん、Aどこ行ったん？」

「今どっか行ってもうた…」

と「お兄ちゃん、はよして！」

渋「沙羅、こんなとこでなにしてんねん」

沙「すばる！もう、弟の文化祭に来てなにが悪いんよ！」

大「渋谷さん、ごめん俺…」

沙「すばるは？元カノに会えるかも～とか思ってきたん？」

渋「んなわけあるかい」

と「行ってええよ」

渋谷さんにそう言われ、

学校の敷地内を探して回った。

《全校生徒の皆さん。間もなく後夜祭が始まります。片付けの終わったクラスから順番に移動を始めてください…》

「Aちゃんどこやねん…！」

走って走って、

遂に最後の砦の旧校舎へ。

「おった…」

『…ｸﾞｽｯ…(泣)』

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Aside

『大倉くん…(泣)』

大「なにしてんねん…」

髪の崩れた大倉くんが私を優しく抱きしめる。

大「……こーゆー時に…なんて言ったらええのかわからん…」

大倉くんの優しい低い声が鼓膜を揺らした。

大「……なんも言えん自分が嫌いになりそう…」

『…大倉くんは…優しいよ…？(泣)』

私からも背中に腕を回す。

大「……デート行こ」

『デート…？ｸﾞｽｯ』

外が騒がしい。

後夜祭、始まったんかな？

大「…Aちゃんが…俺しか見えなくなるようなデート…」

『……うん…行こう』

きっとその方がすごい楽だから。

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