初恋は大人味 (ページ1)

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初恋は実らない、なんて言葉は聞き飽きた。

正直私は実ってるんだか実ってないんだか。

『としは、今日ひま？』

と「暇じゃないって言っても来るんやろ？」

『よくわかってくれてるやん♡』

私がペタッとへばりついた相手は渋谷としは。

私の幼馴染。

幼稚園の入学式で出会って、

小中高ずっと一緒にいた。

『おじゃましまーす！』

母「はーい。あら、真っ直ぐ来たの？」

『うん！あ、これお土産ー。ドーナツ。』

母「わかってるやん」

闇取引のようにコソコソとドーナツを渡す。

母「2人とも晩ご飯は？」

と「私はいるで」

『食べるー！』

ほぼ毎日こんな調子。

もちろんとしはが私の家に来ることもある。

母「パパもすばるも帰り遅いみたいやから、先食べたかったら食べてええからね。」

と「はーい」

『ありがとうー』

リビングで2人でゲームをして、

負けた方がジュース買いに行くだのお菓子買いに行くだの、

やってることは小学生とかと変わらへん。

母「晩ご飯の前にお菓子いっぱい食べたらあかんよー。先にご飯食べやー」

『いいにおーい！ハンバーグ？』

母「そうやでー。はよ食べ～」

『としは食べよ！』

と「あいよ」

ゲームを中断して、食卓に並んだご飯を有難く頂く。

ｶﾞﾁｬ

母「すばるー？帰ったーん？」

渋「おー。ただいまー」

ハンバーグが半分くらい無くなった頃に、

玄関から声がする。

『すぅくんおかえりー！』

渋「なんや、おったんか」

と「今に始まったことじゃないでしょ」

母「あんたご飯はー？」

渋「呑んできたからいらーん」

そう言ってソファーにダイブした彼は渋谷すばる。

私の好きな人。

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