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『書類です』
担「うん、ありがとう」
特進へ進むための書類を渡して、
不備がないか先生にチェックしてもらう。
担「あ、ごめん。ここ印鑑押さなあかんとこやわ」
『え、あ、本当だ…』
担「持ってる？」
『えーっと……ごめんなさい、家にあるみたいです』
担「どないしようか、取りに行く？時間かからへん？」
時計を見るとそろそろ日が沈む時間。
『徒歩圏内なのでなんとか…迷惑でなければ取りに行こうと思います』
担「ほんま？取りに行ってくれる？」
『はい！』
担「ありがとう！ほな待ってるな^^*」
先生、優しい人でよかったよ〜！！！
学校を飛び出した私は早足で家に帰る。
『あったあった！』
印鑑を握りしめて、来た道を戻った。
『本当にごめんなさい！』
担「ええよええよ〜。ありがとうなあ」
『すみません…』
担「ほんまは明日でもええねんけど、早い方がええって言われてんねん…笑」
先生も色々大変なんだなあ。
そんな呑気なことを考えて職員室をあとにし、
すっかり日が沈んだ空の下を歩き始める。
『あっ…』
やばっ、思いっきり声出した。
大「…なにしてるん」
『……チョっと…用があって…』
声裏返っちゃった。恥ずかしい。
『…バイク、珍しいね』
声が震える。
大「今日寝坊してん」
夜更かししたのかな。
あのアニメまだ見てるのかな。
大「…バイト、続けてるん？」
『え…うん、続けてるよ』
大倉くんは約束覚えてるのかな。
〜〜〜〜〜
大《今度バイクでどっか行こか》
大《それまで待っとってな》
〜〜〜〜〜
いや、覚えてるわけないか。
だって私はもう何人も前の元カノだもん。
あの後ろのシートに誰が座ったのかな。
大「……どっか行く？」
発せられた言葉に驚いて視線を上げる。
大「良ければやけど…」
『………行く』
喉がギュッと締まって声が思うように出ない。
すると大倉くんはもうひとつヘルメットを出して、
私に手渡した。
大「上着前閉めや」
『うん』
私はバイクに跨ると、
付き合ってた当時のようにぎゅっと抱きついた。
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作者名：ゆりかご | 作成日時：2021年4月17日 23時
