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Aside


ライブ2日目。


原「呼んだんでしょ?」

『…うん』


原田さんには事情を話した。


『…いなかったら…諦めます…』

原「そう」


昨日見たく、大きく呼吸してからステージに立つ。


《今日ここに来れなかった人も、昨日もここに来てくれた人も、感謝してもし切れません。》


昨日と同じ曲を、違う感情を抱きながら歌う。


いるか、いないか。


一か八か賭け。


「「「きゃー!!」」」


私が歩いていけば、波のように歓声が上がる。


正直気持ちいい。


ここ、関係者席が1番よく見える位置。


しょうちゃんに送った席番号はたしか…。


《っ………それでは、次の曲はここで歌いたいと思います。》


そうだよね。


そんなわけないか。


しょうちゃんはいなかった。


《確かに言ったよね

好きって言ったよね

私のとなりに来て

腕をまわしたよね》


学生時代に作った曲。


《最初からわかってた

傷つく恋だって

用のない電話 甘いキス 虜になってしまえば》


次で最後の曲。


ずっと憧れてたゴンドラ。


《早過ぎたかも 僕ら夢物語

約束のウエディングロードはもう守ってやれない

口だけなのは 最後まで変われなくて

こんな自分じゃきっと誰も守っていけないよ》


きっと、このうたは届かない。


《さよなら、最後まで愛していたんだ。嘘じゃない。

勝手だって怒るかな、本当馬鹿だったよ。ごめんな。

君の方はきっと新しい場所が出来たんだね

ごめんねとか要らないよ 君が言うなよ》


そんなこと言われたら罪悪感で締め付けられる。


なんで、私あんなに傷付けたのに。


自分勝手なこと言ったのに。


安「(あ)(い)(た)(か)(っ)(た)」

『…(泣)』


なんで、なんで一般の席にいるの。


私はしょうちゃんに向かってピックを投げた。


あの日、しょうちゃんが私にしてくれた様に。


《さよなら 君はきっと忘れて行く道で

とっくのとうに もっとマシな人 捕まえたんだ

僕の方はずっと抜け殻みたいだよ

本当は今でも、なんて 君が言うなよ

今更だって僕は言うかな》


メインステージに戻って、最後の詩を歌いきる。


《本当に本当にありがとうございました。今回のこのライブのこと、一生忘れません。これからもよろしくお願いします!》


最後は強がって、涙を堪えた。


原「Aちゃん?」

『…いた…(泣)』

原「そっか…よかったね…よかった…」


原田さんはもたれる私を優しく抱きしめてくれた。



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作者名:ゆりかご | 作成日時:2021年1月21日 21時

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