178 「もう大丈夫。もう私は少女なんかじゃないの」 ページ33
酷く体が疼いた。
特に腰のあたり。痛いぐらいに。
暑くて体が重い。
喉のあたりに声がつかえた。息が苦しい。
そうして、その喉がいきなり楽になった。ずばっ、と喉を切り裂いた時の血みたいに何か噴き出たと思ったらそれは、高い悲鳴。
悲鳴？嬌声？わからない。
でもその声を出した途端、一気に体の力が抜けた。思考も何処かに飛んでいった。
あるのは、熱い体だけだった。
「−−誘ったのはこっちとはいえ」
ベッドに身を投げ出したまま呟く。窓から差し込む光が眩しくて目を細める。
「本当にやってくれるとは思わなかった」
すいっ、と視線を横にやるとシャツを着かけている男の背中が目に入る。私の爪が抉った細く赤い引っ掻き傷も。
その傷をワイシャツで隠した男は、私の体の上に昨日着ていた服を投げかけてきた。
「服を着てくれ」
「やだ」
「洗濯はしたぞ」
「やだ」
クラピカが思いっきりため息をついた。情緒もへったくれも無い人だなぁ……と思いつつも、彼なりに後悔があるのだろうとお察しする。すまないな、襲って。襲わせて。
「シャワーを」
「やだ」
今、自分がどういう気持ちになってるのか整理してるんだから。
愛してもない人と体を重ねて−−しかも初めて−−、それで実際、少女は死んだのか？虚無は満たされたのか？ふっきれたのか？
「……ねぇ、クラピカ」
「何だ」
「クロロはさー、今、この状況を見たらどう思うかな？」
あれ、聴きたかったことと違うや。何で師匠が出てきたんだろう？
「そんなこと私が知るか」
「推測の話。知ってるかどうかじゃない」
「……セレネはどう思うんだ？」
「…………多分、何も言わないと思う」
「何故？」
「クラピカだから」
「……他の人間だったら？」
「怒る。拷問なんてものじゃないぐらい痛めつけて、私とした相手を殺す。そして私のことも殴る」
「何故私なら怒らないんだ？」
だって、自分かクラピカか、選ばせたぐらいだもの。
起き上がり、クラピカが投げてきた服の中から下着を探して身に付ける。それからシャツだけ着て、依然こちらに背中を向けたままのクラピカに腕を回して抱きしめた。
「……師匠が私より先に死んだら貴方に私を殺してもらうよ」
「どういう意味だ」
「師匠が死んだら、旅団の団長になるの」
うふふ、と笑う。クラピカは顔をしかめたことだろう。悲しいね、私たち。クルタの里で会えたなら、良い関係になれたかもしれないのに。
「ありがと、クラピカ」
ごめんね。
179 「何を人の故郷荒らしてくれとんじゃゴラァァァァァア！！！」→←177 「師匠の身長の数字じゃん？……なんて風に考えてしまって」
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レン(プロフ) - このシリーズ3周するくらいとんでもなく面白かったです!!!!!更新停止なのは悲しいけどいつまでも待ってます！ほんとにこの作品大好きです!!!!! (1月28日 21時) (
レス) @page34 id: d242f3e9c7 (このIDを非表示/違反報告)
アロン(プロフ) - ついにキメラアント編っ！更新停止になっちゃってるけど、また更新再開してくれると嬉しいです！ (2021年8月26日 13時) (レス) id: ed0e3e5242 (このIDを非表示/違反報告)
まや(プロフ) - このシリーズめっちゃくちゃ好きです！更新待ってます！！ (2021年2月1日 8時) (レス) id: f151b0ddd6 (このIDを非表示/違反報告)
Kan - 更新楽しみにしてます(^_^)ﾉ (2020年9月19日 23時) (レス) id: 807bcc086e (このIDを非表示/違反報告)
勿忘草 - フレンチトースト頬張るふぇいたん可愛すぎる！！！ (2020年6月5日 21時) (レス) id: a69079c5f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤原 黎明 | 作成日時：2019年8月7日 21時
