258 「あれ、誰と話してるの?ねぇねぇ……というか誰が話してるの?」 ページ12
*
【???side】
「で?お前はそれで良いと思ってるの?」
尋ねると、クロロはやっとオレを見た。今までずっと別のところを見て話していたから、感情がちゃんと見える気がする。
「ヨークシンに行く前までは、良かった」
「今は違うのか?」
クロロはセレネという弟子のことを、幼い頃からの仲間である旅団にも、オレにも話してくれてはいなかった。
徹底的に、セレネの存在をオレたちから隠し続けたのは、並大抵のことではない。
「セレネがクルタ族の血を引いてると気が付いて、……揺らいだ」
「揺らぐ?気持ちがか」
「オレはクルタ族を殺戮した。もしセレネがクルタ族と出会うことを望んでいたなら、オレはそれを奪ったことになる。虚無を穿ったことになる」
……なるほど。
「そして鎖野郎を案じていたセレネは……もしかしたら、普通の生活を望んでいるんじゃないかと思った」
「いや、話を聞く限りそれはねぇだろ」
「……そう見えて、セレネは意外に嘘をつくのが上手いからな。だからオレから離れる選択肢を示した」
「へぇ。で、結局選んだのはお前なんだろ?」
クロロは頷いて、少しだけ頰を緩める。
「嬉しそうだな」
「別に」
その頰を隠すようにしてコーヒーを飲む。お前たまに可愛くなるよな。
「……まぁそういうことがあって、セレネの健気さがお前の心を動かしたわけだ」
「そういう言い方をされると認めたくないな」
「認めろ」
「認めてるよ」
「よし」
そこまでクロロが自分の気持ちをわかってるなら、やることは1つ……2つだと思うんだけど。
「まずお前はセレネと話せ。ちゃんと」
「わかってる」
「そして告れ」
「ごふっ」
コーヒー噴くなよ。
「けほっ……お前、ユキ!何を」
「だってそうじゃん。お前セレネのこと大好きじゃん」
「やめろ。それは違う」
「違くねぇよ。オレは今弟子との禁断の恋に悩む26歳男性の惚気を淡々と聞かされた気分だぞ」
そこまでは思ってないけど。
「それに多分……セレネも……」
「……何だ?」
セレネって奴も、かなりこじらせてる……というか、素直じゃないとオレは思う。クロロと同じくらい。
「セレネに会ってみるかな」
「やめろ。嫌な予感がする」
「旅団の皆にも会いたいんだけどな」
「奴らが一緒にいるわけじゃないだろう」
「考えとく」
ユキ、とオレの名前を呼んで目を剥くクロロを無視して立ち上がり、店から出ようと歩き出す。
「ユキ」
「あ、早めに会って話してやれよ。あまり時間は無いと思う」
「勘か?」
「勘」
束縛を解いた時にどうなるかは、2人次第だけどな。
259 「私の師匠の間には……いくつか、勘違いと秘密はあると思う」シャル「全部暴こうか」「うーーー、それもまた怖いね」→←257 「けど、神さまは信じてない」
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レン(プロフ) - このシリーズ3周するくらいとんでもなく面白かったです!!!!!更新停止なのは悲しいけどいつまでも待ってます!ほんとにこの作品大好きです!!!!! (1月28日 21時) (レス) @page34 id: d242f3e9c7 (このIDを非表示/違反報告)
アロン(プロフ) - ついにキメラアント編っ!更新停止になっちゃってるけど、また更新再開してくれると嬉しいです! (2021年8月26日 13時) (レス) id: ed0e3e5242 (このIDを非表示/違反報告)
まや(プロフ) - このシリーズめっちゃくちゃ好きです!更新待ってます!! (2021年2月1日 8時) (レス) id: f151b0ddd6 (このIDを非表示/違反報告)
Kan - 更新楽しみにしてます(^_^)ノ (2020年9月19日 23時) (レス) id: 807bcc086e (このIDを非表示/違反報告)
勿忘草 - フレンチトースト頬張るふぇいたん可愛すぎる!!! (2020年6月5日 21時) (レス) id: a69079c5f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤原 黎明 | 作成日時:2019年8月7日 21時