時透無一郎好きのための短編集

↑続き(夢主side) ページ15

Aside





時透様はよく家に来て下さる。

いつも優しく接してくださるのだが……

今日は少し機嫌が悪そうだ。



｢今日のお部屋です。湯浴みとお食事どちらを先に致しましょうか？｣



恐る恐る声をかければ、やはり返ってきたのは優しい声では無かった。



｢いらない。今は君がいい、A。｣



強く腕を引かれ、後ろからピシャッと障子が閉まる音がした。



｢……時透、様？｣


｢それ。なんで？あいつは伊之助くんなのに、僕は時透様なの？｣


｢そ、それは、だって、柱の方ですから、と……。｣



威圧的な口調に肩がビクッと震えるのが自分でも分かった。

部屋の奥に連れていかれ、壁に勢いよく押し付けられる。



｢じゃあ柱辞めたら名前で呼んでくれるの？ねぇそういうこと？｣


｢それはっ！違いますっ！でも…｣



ｶﾞﾝｯ



顔の真横に時透様の拳が殴るように置かれた。



｢でも何？ねぇじゃあ呼んでよ、あいつが伊之助さんなら、僕の事は無一郎。呼べるでしょ？｣


｢どうして…っそんな…。｣


｢僕は君の事が好きなの。出会った時からずっと、ねぇA、呼べないの？｣



押し付けられる手に力が篭もる。


＿＿＿＿＿痛い、怖い。




｢む、無一郎…………？｣


｢そう、それでいいよ、僕は君の特別、ねぇそうでしょ？分かった？

＿＿＿＿愛してるって言ってよ、A。｣

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