62 2人きり ページ29
*
クロロさんの部屋の前−−
ここに立ってから、既に15分。ちなみに絶はしているので、気配は気付かれていないはず。
中からは物音1つ聞こえない。多分、本を読み耽っているのだろう。
ドアを叩こうとするが、心の準備が中々できず、ずっと躊躇している状況。優柔不断だ。
(……早く入らなきゃ……もし誰か通りかかったら絶対からかわれる)
例えばシャルナークとか。あの方は絶対面白がる……。
よし、あと三秒で入りましょう。そうしましょう。
いち、
に、の
さ−−
ガチャッ
クロロ「サクヤ?」
ん!?
「あ……わ、クロロさん!」
クロロ「そこで何してたんだ?」
「い、いえ!今入ろうかと……」
びっくりした。いきなり出てくるとは思わなかった……!!
クロロ「……もしかして、15分もためらってたのか?」
「なっ!何故それを!?」
私、絶していたはず。
クロロ「いや、流石にこの距離なら気付くぞ?」
「それなら、気付いた時に言ってくれたらよかったのでは」
クロロ「いや、何か……面白くてな」
「何がですか!」
むうぅ、とクロロさんを睨むと、爽やかな笑顔でかわされ、
クロロ「入ろうか」
「……はい、お邪魔します」
クロロさんの部屋に入ることに。
「それで……お仕置きとは?」
バタン、と背後でドアが閉まる。クロロさんは答えず、私にベッドへ座るように促す。
びっしりと本が並べられた本棚から、何冊か本を抜き出す。
クロロ「これなんだが」
「これは……」
平仮名、漢字などジャポンの言葉で書かれた文字。『枕草子』『古今和歌集』『とりかへばや物語』『伊勢物語』−−等々。ちなみに原文まま。
クロロ「サクヤがいない間に、手にいれたんだ。ジャポン語は読めるんだが、単語や仮名の使い方が難しくて、読めなかった」
確かに、これは昔の作品だ。ジャポン出身の人でも、原文を完璧に読みこなせる人は少ない。
クロロ「これを教えてくれないか?」
「はい!大丈夫ですよ!」
しかし、貴族として生まれた私は、古来の物まで徹底的に教えられたために、しっかり読むことができる。
あの地獄の日々に初めて感謝。
−−でも、
「これが、お仕置きなんですか?」
*
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藤原黎明 - ごめんなさい!コメント気が付いてませんでした……!探しにくくてすみません!でも、読んでいただけて嬉しいです! (2018年8月31日 17時) (レス) id: 50a7dd275d (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - すみません。もう少し調べてみたら見れました!本当にすみません(T-T) (2018年8月10日 11時) (レス) id: ecaf096ebb (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - あの、作品の一番始めといいますか第一話?が見れません。どうしたら見れますか? (2018年8月10日 11時) (レス) id: ecaf096ebb (このIDを非表示/違反報告)
フェイたん - とても面白いです!夢主ちゃん可愛すぎ!これからもお体に気を付けて頑張って下さい! (2018年1月12日 17時) (レス) id: 3affdfaf3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤原 黎明 | 作成日時:2017年12月20日 0時