37 最終日 ページ44
*
【イルミside】
最終日。
サクヤ「私たち、土の中にいたんですねー」
掘った穴から出てくると、サクヤは思い切り伸びをした。
サクヤ「晴れてて気持ちいい……」
すうっ、と深呼吸をしたサクヤからは、哀しみの色は全く見えない。
あのとき、オレの腕の中で静かに泣いていた彼女。
オレは彼女に何も言ってやれなかった。
何を言えばいいのか、わからなかったから。
彼女が何を憂いて涙を流しているのか、思いやることはできた。しかし、だ。
闇人形であるオレは、哀しみを癒す言葉なんて言ってやることはできなかった。
……サクヤが泣いているところなんて、初めて見た。
いつもニコニコしてて、優しくて、強がりで、どっか抜けてるのに、冷酷で。
涙を流すサクヤに、言ってやれる言葉なんて、オレは持ってない……。
思わず、小さく呟く。
「……あいつなら、何て言うんだろ」
サクヤ「……何か言いました?」
するとサクヤがくるんとこちらを振り向き、小首を傾げる。しかし、何でもない、とオレは目をそらした。
くすっと笑ったサクヤは、また口を開いた。
サクヤ「イルミが、黙っててくれて良かった」
……良かった?
サクヤ「多分、あのとき……何か言われたら、自分が壊れた気がするの。ほら、私、無駄に自尊心高いから」
ふふっ、と軽く笑ったサクヤの顔は明るい。
サクヤ「だから、あれで良かった」
思わず口から言葉が漏れた。
「……クロロとか」
サクヤ「え?」
「クロロなら、君に声をかけたと思う?」
サクヤは、虚をつかれたような表情を浮かべた。
サクヤ「えっと……クロロさんが、出てきたのはわからないですが」
んー、と考えて、
サクヤ「私、誰の前でも泣いたこと無いんです。だから、わからない」
と、言った。……それなら、オレが初めてなの?
「初めてがオレで良かったの?」
努めて軽い口調で尋ねると、サクヤはぷっとふきだした。
サクヤ「朝起きたら私に抱き着いてる方が何をおっしゃりますか?」
笑顔で言ったすぐその後、放送が鳴り、第4次試験終了となった。
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ラッキーアイテム
伸縮自在の愛
ラッキーキャラクター
フェイタン「ワタシがラッキー?……ハハ、喧嘩売てるか」←
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藤原 黎明 - ヴィズさん» めちゃわろてるやんwwww びず姉ありがとう!!wwww (2019年8月15日 23時) (レス) id: d9b557ad09 (このIDを非表示/違反報告)
ヴィズ(プロフ) - んふふwww好きぃwww (2019年8月15日 22時) (レス) id: 54e78712b9 (このIDを非表示/違反報告)
藤原黎明 - RTさん» コメント気が付いてませんでした、すみません!ありがとうございます!これからも頑張ります^ ^ (2018年8月31日 17時) (レス) id: 50a7dd275d (このIDを非表示/違反報告)
RT - とっても面白いです!更新頑張ってください! (2018年8月10日 14時) (レス) id: da0e7ea281 (このIDを非表示/違反報告)
キサキ(プロフ) - メンチはシングルハンターです (2017年12月28日 13時) (レス) id: 3a616b600a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤原 黎明 | 作成日時:2017年9月30日 23時