153 利用価値?リヨウカチ ページ35
*
「アンタ本当に大丈夫?」
「特に問題はない。痛かったけどな」
「そう……」
旅団と梟という奴と一緒にぎゅうぎゅう詰めに車に乗り込み、アジトまで向かう。
どうやら俺は誘拐されてから意識を閉じていたらしい。そのせいで前後の記憶が判然としないが、とにかく身体が痛かったのは覚えている。
「何故俺が誘拐されたのかは謎だがな」
「え、自覚してないの?」
「む?」
首を傾げると、シャルナークがため息をついた。
「君は人間だと名乗ってるけど、既にハンターサイトには君の能力や力について細かく記されてる。それを見た人間がどう思うか、って考えたことある?」
「無い」
「清々しいほどの即答」
無いからな。
「簡単に言えば、利用価値が高すぎるってことだよ」
リヨウカチ……ええと、利用価値か。……つまり、俺に何かしてほしいことがある?ということか?
「……覚えておこう」
「その方がいいよ」
俺は頷いた。すると、ポケットでぶるぶると変な感触。
「!?」
「電話だよ、何びっくりしてんの」
「あ、そうか」
『繋がった!!リヒト!?』
「うん、ゴンか」
『無事!?大丈夫!?怪我してない!?』
「あ、ああ。いやちょっとだけしたけどーーどうした、そんなに慌てて」
ゴンには珍しく、怒涛の勢いでまくし立ててくる。焦りが感じられるが、これは一体。
『リヒトが電話にもメールにも出ないし、呼んでも帰ってこないからじゃん……心配した……』
「そういうことか。すまない、心配かけて。ちょっと誘拐……」
『え!?』
誘拐、と言えばまた心配かけるか。
「いや、冗談。友達と一緒に歩いてたんだ」
『……そっか。それなら良かったけど……早く帰ってきて。キルアもレオリオも待ってるから』
「うん。わかった」
ゴンがこれだけ俺を心配することもあまり無いことだ。本当に珍しい。
電話を切って、
「俺、友達のとこに帰る。随分心配をかけたようだから」
「ささと帰れ」
「だから帰るよ」
何故フェイタンは苛立っているのか。怖いぞ。また拷問されそうで。
「じゃあ、仕事中にすまなかった。クロロたちにも頑張ってって伝えて」
「うん、じゃあね」
窓を開けてもらい、身体を霧散させて飛び立つ。ゴンたちは……あっちの方向か。
……急ごう。
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藤原 黎明 - 藍季さん» 藍季さん、優しい言葉をありがとうございます…!はい、無理せず色々のんびりやっていこうと思います!続編も出せましたので、是非に!楽しんでいただけたら嬉しいです(o^^o) (2020年3月2日 12時) (レス) id: ed76ed8c0c (このIDを非表示/違反報告)
藍季(プロフ) - お身体はもう大丈夫ですか…?無理をせず、健康第一で更新頑張ってくださいね。ずっと応援しています! (2020年3月2日 12時) (レス) id: 183bdc47fe (このIDを非表示/違反報告)
藤原 黎明 - 神織さん» 神織さん、コメントありがとうございます!お褒め頂いて嬉しくも、更新ナメクジで申し訳ないです(泣) たまに思い出したときにでも覗いて楽しんでくれたら幸いです! (2020年3月1日 23時) (レス) id: ed76ed8c0c (このIDを非表示/違反報告)
神織 - めっちゃ面白いです! 何で名作って更新停止されてるの多いんだろ(ボソッ (2020年2月9日 10時) (レス) id: a6841af2ef (このIDを非表示/違反報告)
藤原 黎明 - 樹-KI-さん» ありがとうございます!すみません、最近誤字りまくってます汗 これからも頑張ります〜! (2020年1月7日 13時) (レス) id: 2fc4486bb4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤原 黎明 | 作成日時:2019年6月7日 23時