120 出発?2人ともごめんな ページ47
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そっと、真っ白なシーツから体を起こして、借りた衣服を脱いで(自分なりに綺麗に)畳んでおく。
軽く両手を広げて、衣服を作り出して纏う。
やっと空が白んできたぐらいの時間。
ゴンとキルアはまだ寝ている。昨日は遅かったから、目を覚ますにはまだ時間があるだろう。
絶をして部屋を出て、階段を降りる。
台所にも誰もいない。ミトさんやおばあちゃんもまだ寝ているらしい。……うむ、好都合。
そのまま絶に意識を集中させたまま外に出る。
「……よし」
潮の香りがする風を吸い込み、空を飛ぶ一羽のカモメに手を振る。
旋回して降りてきたカモメを腕にとまらせて、おはようと挨拶をする。
「お前に着いて行ってみようかな」
ゴンとキルアと旅をする。
その約束を破るつもりはない。
でも、少しだけ別の世界も見てみたいんだ。
わかってくれるよな。
人間の言葉ではーー家出、ともいうのかな。……それとこれは違うか。
まぁ細かいことは置いておいて、とにかく一人旅なんてのもしてみたい気分なんだ。
「9月1日に、ヨークシンシティで」
必ず、約束は守るよ。
【no side】
「……はァ!?」
「えぇええ!?リヒト1人で出て行っちゃったの!?」
「そうみたいね。このメモによれば」
くすくすとミトが笑って、台所のテーブルに置いてあったメモを振る。
「どうしようキルア、追いかける?」
「つっても、あいつ船で出て行ったわけでもねーんだろ。『神異』か、あいつの能力かで……」
「うー、そっか……オレの鼻も効くかわかんないしなぁ」
「そんなに心配することないわよ」
ゴンとキルアはミトを怪訝そうに見た。
「なんで?」
ゴンが尋ねると、ミトはリヒトのメモの最後を指差した。
「だって、『探さないでください』って書いてるんだものこれ。ふふ、本当に面白いわねリヒト君ったら」
心底面白そうにミトは笑い、ゴンはえー……と頰を膨らませた。
「どこで覚えたんだよ、そんな文言」
「……む〜〜すごい心配……」
だけど、とゴンは眼を瞑った。
「リヒトだもんね……信じるよ、オレは」
「リヒトだからな。……うん。あいつなら多分……まぁ、大丈夫……多分」
過保護ねぇ、とミトは眼をパチクリさせていたーー
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勿忘草 - 実況さんに返事をする夢主さんが面白いwww (2020年6月14日 18時) (レス) id: a69079c5f6 (このIDを非表示/違反報告)
藤原 黎明 - マーシャさん» ふふふ(≧∇≦) 続編をお楽しみに!応援ありがとうございます! (2019年6月2日 6時) (レス) id: 862efe2a89 (このIDを非表示/違反報告)
マーシャ - 黒髪の青年はクロロですねわかります! 続編頑張ってください! (2019年6月1日 17時) (レス) id: 9f5cd220aa (このIDを非表示/違反報告)
藤原 黎明 - キラさん» キラさんありがとうございます!!こっからも頑張りまーす!! (2019年5月19日 1時) (レス) id: 862efe2a89 (このIDを非表示/違反報告)
キラ(プロフ) - やっぱりいつ読んでも面白いですー!!これからも楽しみにしてます!! (2019年5月17日 22時) (レス) id: b207c7ff5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤原 黎明 | 作成日時:2018年12月29日 23時