14.元カレ事件…2 ページ36
家に入れて、ソファーに座らせる。その間一度も顔を上げようとしないAの姿をみて、俺はゆっくり隣に座って優しく手を握った。小さく、小さく震えているAの細い肩。
俺はゆっくりと手を伸ばし、Aの髪の毛をかきあげた。
すると、腫れた左頬と端が切れて血が滲む唇、そして赤くなった首元が目に入る。
だ「…誰にされたん、それ。」
『…転んだ』
だ「お前なぁ、そんなん嘘って分かるに決まってるやろ」
『…………』
だ「男にされたんか？」
『…………』
何も言わなくなったA。顔を覗き込むと、いまにも泣き出しそうな顔で。歯を食いしばって、涙を堪えていた。
だ「顔上げて」
『っやだ…めっちゃ腫れてるでしょ？』
だ「ええから」
『ほんと、見ないでほしい。めっちゃぶさいくじゃん…』
だ「ええって」
仕方なく、少しだけ強引に。頬に手を添えて顔を上げさせると、痛ましい傷が、部屋の明かりに照らされて先ほどよりもしっかり見えた。顔を上げたせいか、Aの目から涙が溢れる。
思わず、Aを抱きしめた。
だ「一緒に警察いこ。」
『っうぅ、』
だ「もう大丈夫やから。」
『………っ』
『…元カレに、されたの…！』
『っ逃げようとしたら、腕掴まれて転んじゃって…っ、そしたらわたしの上に乗って、殴って、首絞めて、それで、服脱がされそうになって…、…っ逃げて、』
だ「うん」
『っもう、めっちゃ怖かったぁ…！顔腫れて、服破けて、本当、最低…っ！』
ぼろぼろと涙を流しながら必死に訴えかけてくるA。涙を袖で拭いてあげて、もう一度抱き締めた。
だ「元カレにやられたんやな。んで、その元カレの手元にお前のスマホとかカバン全部あるんやな？」
『そう、全部…。…お気に入りの財布もリップも全部あのカバンの中に入ってるううー！』
だ「分かった分かった！大丈夫、絶対取り返せるから！」
だから、警察行こ？
改めてそういうと、Aはまさかの首を横に振った。
だ「なんで！？」
『いや、もっかい連絡とりたい。』
だ「馬鹿か！危なすぎやって！」
『だって…っ』
Aは、言いかけた口を閉じた。
まだ何かあるようだ。
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宇蘭(プロフ) - HRNさん» HRNさん ありがとうございます♪励みになります！更新頑張りますので、もう少々お待ちください♪ (2023年3月14日 19時) (
レス) id: ed273fce11 (このIDを非表示/違反報告)
HRN - 本当に共感できる内容で素敵な小説でした❣続き楽しみにしてます！ (2023年3月13日 19時) (レス) id: 0ac97815cb (このIDを非表示/違反報告)
宇蘭(プロフ) - ﾏﾖﾈｰｽﾞさん» ﾏﾖﾈｰｽﾞさん！こちらこそありがとうございます！！わたしも書きながらキュンキュンしました。wがんばります！！ (2023年2月11日 2時) (レス) id: ed273fce11 (このIDを非表示/違反報告)
ﾏﾖﾈｰｽﾞ(プロフ) - とても好みの小説でめっちゃキュンキュンしました…！素敵な小説をありがとうございます！これからも楽しみにしてます！！ (2023年2月9日 23時) (レス) @page49 id: 7e7652eaca (このIDを非表示/違反報告)
宇蘭(プロフ) - 金成さん» ご指摘ありがとうございます。すぐに修正しました。 (2023年2月8日 15時) (レス) id: ed273fce11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宇蘭 | 作成日時：2023年2月7日 1時
