色恋戦線 2nd【ars K.N】 (ページ25)

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ちゃんとついて来てんのか分かんなくて、時々振り返って結城の姿を確認する。

オレと目が合うと、テテテっと小走り。
小動物みたい。

また暫く歩いて振り返ると、やっぱりちょっと遅れてる彼女はテテテっと小走り。

そんな事を繰り返して、ばーちゃんちに辿り着く。

「どうぞ」

ごめんね、ばーちゃん。
留守中に貴方の孫は女の子連れ込もうとしてるよ。

「寒いでしょ、早く入りなさい」
「あ...はい...」

結城が門扉をくぐったのを確認して、オレは玄関まで進みドアを開ける。

「ほい、入って」
「あの...」
「あ、ばあちゃんなら友達と旅行らしくて居ないから気にすんな」
「あ...はい...」

玄関に電気を点けて家に上がり、奥の部屋の電気も付けに行く。

なかなか結城が上がって来ないな...と玄関を見ると、まだそこに立ったまんま。

「どした？」
「えっ！？」

赤くなって目を丸くした彼女を見て、やっと気付いた。
そうだよ、誰も居ない家に上がれって警戒するに決まってる。
何かシてやろうって気持ちが微塵も無かったから、そこに気付けなかった。

「何を心配してんのか知んないけど」
「......」
「取って食いやしねぇよ。ネタみたいだから言いたくなかったけど...」
「......」
「何もしないから」

彼女がポカンとしてる。

「ほら、何か嘘くさく聞こえるだろー？」

ダメだ、自分のダサさにウケる。

「早くおいで」

照れ隠しのように手招きしたら、結城は微妙な表情。

「何も...しないんですか...？」
「しないって言ってるでしょうよ」
「......」
「信用できないなら、また今度ばあちゃんが居る時でも良いよ？」

やっぱ男と二人きりになるのは怖いのか。

まぁ、ズルいとも思うよ。
オレ、キミの告白に対してまだ何も言ってないし。

だけど、ちゃんと伝えるから。

怖がらないで。

「迷ってるなら、おいで」

結城の手を引っ張ると、簡単にこっちに身体が引き寄せられる。
良かった、嫌がってた訳じゃ無い。

「あっ...お邪魔しま...す」

手を繋いだまま、オレがこの家で一番よく入る部屋へと連れて行く。

「見たかったんでしょ？」

開け慣れた襖を開くと、一気に本の匂いが漂った。

「オレの、本棚」

コッソリ、結城の横顔を覗き見たら

小さく開いた口から、ハァ...と息を吸った音が漏れた。

それは、オレの鼓膜をジンと揺らして悦ばせる。