第五十二話「異能で作った薬」 ページ3
太宰の愉しそうな声に特務課の人達は銃口を彼に向ける。
そんな中、一人の男が落ち着いた様子で一歩前に出た。
「お前がポートマフィアの遣いの者か」
「そういう貴方はもしかして……種田山頭火さん?」
太宰の問い掛けに種田は肯定した。
空気はピリついていて私は冷や汗が流れ体が痺れてきた。
……痺れてきた???
「メールを信じてきてくれたんだね」
「……半信半疑だったがまさかこうなるとはなぁ。えぇ?舞姫」
名前を呼ばれてビクリと肩が揺れる。
完璧に怒ってる口調だ。
怖い……けど私は今、それどころじゃない。
手足が痺れて立っていることもままならなくなってきた。
あれだ、あの時太宰が飲ませた変な薬の所為で体が痺れているのか?
「僕もそんなに時間が無いからさっさと済ませるよ」
『……っ!?』
思いっきり頸を掴まれた。
けれどそんなに苦しくない。
「……あぁ抵抗出来ないだろうね?
特別に作った強力な痺れ薬なんだから。どう?手足の自由が聞かないでしょ」
「……其奴はあらゆる薬の耐性は持っている。そんな簡単には効かんぞ」
種田は太宰に向かって
……だから私は媚 薬を飲まされてもなんともなかったのか。
けれど今回のはやばい。どんどん痺れが強くなっていってる。
「うーん、残念だけど効いてるみたいだよ」
「……どういう事だ」
「云ったでしょ?特別に作ったって。薬作りの異能者に逢ってね。
その人に作って貰った」
いつの間にそんな薬作ってもらったんだよ。
異能で作った薬ならば効果はあるのか。
「それにしてもこんな少女が潜入捜査官なんて……特務課は人手不足なの?」
グッと頸を掴まれる力は強くなる。
少し苦しくなってきた。
ケホッと咳込めば特務課の人達は慌てだした。
「却説、そろそろ終わろうか」
太宰は懐から銃を取り出した。
.
679人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:らしろ | 作成日時:2020年8月10日 1時