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第六十二話「私じゃない」 ページ13

あれから数週間が経った。




相変わらず私はモテまくった(男女共に!)



そしてそれを気に食わないという顔で隣にベッタリくっ付く治お兄さん(設定上)




『兄さん、くっつき過ぎだって』



「此処は誰も来ないからいいの」



『否、良くないからね』



「二人きりの時は“治”って呼んで」



『御遠慮します』





そう云って報告書作りに取り掛かる。


もうこの作業も何十回目だろうか?


報告書の数以上に人の命を奪っている手を止める。





「A?」




『……ん?何?』



「……大丈夫?」



『あぁ大丈夫。ちょっと疲れただけ』





そう、疲れた。


矢張り人を殺す事は慣れない。


慣れてはいけないが、慣れないとマフィアでは生きていけない。




『明日は少し長めに寝ることにするよ』



「うん、それがいい。そして僕が添い寝を……」



『却下』



「ちぇっ」




太宰は不貞腐れながらソファに寝転ぶ。




「A」



『ん?』



「プレゼント何がいい?」




カレンダーを見て誕生日が近い事を思い出す。


本当に何も要らないんだけどな。


強いて云うなら、あの子の魂がこの体に戻れば……




「じゃあ、その日は僕と出掛けよう」




太宰の声にハッとする。


彼を見ると嬉しそうに此方を見ていた。




『そう、だね。久し振りに色んな所に行きたいな』




ニコリと笑って報告書作りを再開させる。



……誕生日までには、終わらせなきゃ。




『……よし』




データを保存して印刷をする。




怖がってばかりじゃ駄目だ。


立ち止まっていては尚更駄目だ。


行動しなきゃ、何も変わらないんだ。





『兄さん、報告書を首領に渡してくるね』



「君くらいだよ。下級構成員が直接、森さんに報告書届けるの」



『首領の指示だからしょうがないでしょ』




笑って執務室を出る。


本当ならば下級構成員が首領に逢うことは許されない。


それが許されるのは……私が彼の娘だから。


大切な、唯一無二の娘だから。




『……本当は私じゃないのにね』




そう呟いて最上階に行き、森に報告書を提出した。




━━━━━
━━━





「さぁおいで!」



『……否、何で貴方が私の家のベッドの中にいるの?』




森にドレスを勧められ逃げて帰ってほっと一息ついたら太宰が居た。


もうやめてくれ、私を休ませて!



そんな私を見て太宰は楽しそうに笑っていた。


.

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作者名:らしろ | 作成日時:2020年8月10日 1時

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