第五十二話【幻想的だった】 ページ6
フラフラと街を離れて近くの公園のベンチへ座る｡
『……はぁ』
溜息が風に乗って流れる｡
あの後､太宰君と解散した｡
結局は何処にも行かずにその場で別れて終わり｡
『……無理だよ｡住む世界が違う､真逆だ』
私がずっと探偵社に居るのならばまだ話は違うかもしれない｡
けれど私はいずれ……
『……っ､嫌……だなぁ』
私は二十歳になったら政府へ行かなければならない｡
これは私が檻に出る代わりに政府から云われた条件｡
勿論､お父さんは全力で抗議した｡
しかし私程の異能力者であれば監視をするより､政府に身を置いていた方が妥当だという｡
『……あんな地獄より更に苦しい場所へ戻るくらいなら死んだ方が』
｢……ならば私と心中してくれないかい｣
真後ろから聞こえた声に驚いて振り返る｡
そこには目を煌めかせた太宰君が立っていた｡
流石はポートマフィア幹部､気配なんて無かった｡
『……え？心中？てか何で太宰君が此処に……』
｢ふふふ､好きな子の事ならば全て知りたくなるから｣
『それアウトだよ､ストーカーだよ｡警察出動案件だよ』
ポケットに手を入れると盗聴器が入っていた｡
普段なら気付くのに……
｢詳しく聞かせてくれないかい｣
太宰君は隣に座った｡
私の肩に太宰君の外套が乗る｡
『……私､二十歳になったら政府へ行くの』
｢……うん｣
『私の異能は政府にとって切り札だから』
｢切り札？｣
『私は一度､この街全てを凍らせた』
太宰君は思い出したように､ああと云った｡
────六年前の龍頭抗争｡
双黒が龍頭抗争の首謀者を倒す瞬間に私は異能を発動させた｡
『中原君が異能を暴走させようとした瞬間に｡
太宰君は近くに居たから覚えてると思うけど』
｢……ああ｡私や中也､そして首謀者の白麒麟の居た､半径十
あれは鮮明に覚えている｡とても幻想的だった｣
『……そのお蔭で周りの建物が破壊されなかったんだからね？』
｢ふふっ､そうだったね｡あれには驚かされた｣
それからだ｡政府からの目が､私への対応が更に厳しくなったのは｡
『龍頭抗争終結､三日後に政府の役人が武装探偵社に来た｡
そして探偵社の社長で私の親でもある福沢さんに私を政府へ戻すように云ってきた』
当然､福沢さんは拒否した｡
約束が違うと｡
しかし政府は諦めなかった｡
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らしろ(プロフ) - よ だ かさん» コメントありがとうございます。更新楽しみにして下さりありがとうございます！これからも頑張ります。 (2020年5月31日 13時) (
レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
よ だ か(プロフ) - 続編おめでとうございます!! これからも更新を楽しみに待ってます！ (2020年5月31日 13時) (レス) id: c6fcdfc168 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らしろ | 作成日時：2020年5月31日 11時
