第百二十一話『生キル方ヘト』 ページ10
『……変わったな､貴様は』
生きる希望のない目をしていたのに今の彼女は光り輝いて未来を見据えていた
『……今､
鏡｢……あと貴女がいたから｣
『僕が貴様の近くにいたら最強の暗殺者として育てていた』
鏡｢そんなことはない｣
『何故そう云いきれる』
鏡｢だって……貴女は優しいから｣
微笑む鏡花に芥川は目を丸くする
あまりに柔らかく､優しい表情の彼女になんだか申し訳ないという気持ちになってしまう
『僕は貴様に何もしてあげられていない｡それなのに何故､貴様は僕に構う？』
ずっと疑問だった何故彼女は自分に懐くのか｡敵同士になった後でも臆することなく話しかけてくるし､何かと顔を合わせることが多い
『貴様は何か勘違いをしているのではないか｡僕は……』
鏡｢貴女は私に“生きろ”と云った｣
『……！』
鏡｢勘違いしていたのは私の方｡芥川龍之介は唯の人殺しだと思っていた｡けど違う､芥川龍之介も
鏡花の紡がれる言葉に芥川は声が出ない
芥川龍之介は人殺しを好まない優しい人？有り得ない､だってこの男は自分の気に食わないことがあれば直ぐに異能で相手を傷付ける奴だ
『それは違う｡だって僕は……芥川は……』
鏡｢マフィアに入っていない､光にいた芥川龍之介に会ってみたかった｣
あったかもしれない世界
芥川龍之介がマフィアではない組織に属した世界などあったのだろうか
『……有り得ぬ』
鏡｢私が云いたいことは一つ｡芥川Aも芥川龍之介も私を生きる方へと導いてくれた恩人｡だからあなた達には感謝しかない｣
『……鏡花』
鏡｢ありがとう｣
今まで見たこともない綺麗な笑顔がそこにはあった
芥川は胸が暖かくなるのを感じながら口を開く
『礼など要らぬ』
ゴホッと咳をして改めて彼女の瞳を見る
涙を堪えているのか潤んでいる
『鏡花────善かったな』
芥川の表情を見て固まる鏡花
その後､大きく頷いて持ち前の身体能力で上の階へと去って行った
『行ったか……』
────♩♬♩♩♫♩♬〜
突然懐から音楽が流れ肩を震わせる
新しい着信音はこれか､と思いながら携帯を見ると“樋口”という文字だった
.
第百二十二話『何ガ最適解』→←第百二十話『初メテデキタ大切ナ人達』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1178人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らしろ(プロフ) - 乳酸菌 チーズさん» コメントありがとうございます。やっと続編に続きます。明日には5を公開できると思いますのでお待ちください！ご愛読ありがとうございます。 (2020年3月15日 13時) (
レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
乳酸菌 チーズ(プロフ) - 頑張ってください〜待ってますのでー！ (2020年3月15日 3時) (レス) id: df6c59ac1d (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - ぴのさん» コメントありがとうございます。時間に余裕ができれば黒の時代もやりたいなと思っています。ご愛読ありがとうございます！ (2019年7月1日 22時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - いつか黒の時代も見たいです…… (2019年6月30日 22時) (レス) id: 5f84d6c253 (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます。楽しみにしてくださると嬉しいです。頑張ります！ (2019年6月22日 22時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：らしろ | 作成日時：2019年6月22日 17時
