第百三十八話『オヤスミ』 ページ27
『太宰さん、僕は如何すれば?』
魔人は捕まえた。しかし未だ不安が残る。自分に異能を掛けたということはまだ彼は自分の望みを諦めていないということ。
もしかしたら何かを企んで……
太「────大丈夫だよ」
優しい声、それでいてはっきりと云ってくれた。
頭を撫でてくれた太宰の手はとても温かかった。
『……眠いので帰ります』
太「おや?ならば私の腕の中で眠ればいい。なぁに、頑張ったご褒美だよ」
『……結構です』
太「遠慮はいらないよ。ほらおいで」
太宰はベットに上がって両手を広げる
正直云って今すぐに寝たい芥川は、究極に迷っていた。
此処は探偵社の医務室。敵陣で寝るわけにはいかない。
太「今から部下を呼んでも早くて数十分で来るだろう。それまで君は我慢できるかい?」
『……できます』
太「目が潰れそうだよ。迎えが来るまで寝てるといい」
慥かに迎えがくるまで仮眠をとるのはいいかもしれない。でもこんなところで寝るのは……
そうこう考えているうちに太宰が自分の腕を引っ張った。不意な事で驚いたが、そっと目を閉じて身を委ねる。
『……すぅ』
太「……おやすみ」
優しく抱き締めて額にキスを落とす。
いつもは凛として強がりな芥川だが、寝顔は幼く見える。
太「好き、大好きだよ。必ず
医務室に夕日が差し込む。
太宰の言葉は誰にも届かなかった。
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?「おのれぇぇぇえええ!!探偵社ァァァアアアアア!!」
『……なっ!?』
聞き覚えのある叫び声に芥川は飛び起きる
そして辺りを見回して首を傾げる
……此処は慥か、探偵社の医務室だ
『……ん?外、明るくないか』
寝た時は夕刻だったはず。なぜ外は明るい?そして何故自分は可愛らしいパジャマを着ている?
頭の中にハテナマークがたくさん浮かぶ。
『……というか、先程の声は』
もし彼女が此処にいるとなるとちょっと面倒な事になりそうだ。早々とベッドから抜け出し、服を探すがそれらしきものは見当たらない
『このままの姿で部屋を出るのは……』
淡いピンク色のワンピース型で裾に白いフリルが付いている。前に樋口から渡されて着たパジャマに似ていた。
『せめて外套があれば……』
あたふたしているうちに騒ぎ声が此方に向かってくる。芥川は思わず蒲団に潜り込んだ。
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第百三十九話『オノレ探偵社』→←第百三十七話『君ハ誰ノモノ』
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らしろ(プロフ) - 乳酸菌 チーズさん» コメントありがとうございます。やっと続編に続きます。明日には5を公開できると思いますのでお待ちください!ご愛読ありがとうございます。 (2020年3月15日 13時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
乳酸菌 チーズ(プロフ) - 頑張ってください〜待ってますのでー! (2020年3月15日 3時) (レス) id: df6c59ac1d (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - ぴのさん» コメントありがとうございます。時間に余裕ができれば黒の時代もやりたいなと思っています。ご愛読ありがとうございます! (2019年7月1日 22時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - いつか黒の時代も見たいです…… (2019年6月30日 22時) (レス) id: 5f84d6c253 (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます。楽しみにしてくださると嬉しいです。頑張ります! (2019年6月22日 22時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らしろ | 作成日時:2019年6月22日 17時