第××話『アノ日ノ記憶“弐”』 ページ39
『……済みません。取り乱しました。』
太「私としてはもっと泣いて欲しかったのだけど……」
『どうせ抱き着きたいだけでしょう?そんな事より作戦を立てなければ』
太「(……それもあるけど。違うんだなあ)」
太宰は彼女の横に座り、横顔を見ながら口を尖らせる
『そういえば如何いった任務で?』
太「ん〜今夜、違法取引が港で行われるから現行犯で取り押さえろってさ」
『はぁ……軍警じゃああるまいし。しかも簡単な任務ですか。首領も相当、貴方を此処から追い出したいみたいですね』
太「矢張りそうだろうねえ。まぁ、でもおだン“ン“ッ、彼の人の云うように人救けの道も悪くない」
『次云いそうになったらシバきます』
太「判ったから、般若面しないで。恐いのだけど!」
今にも人ひとり殺しそうな勢いの芥川を太宰は慌てて宥める
そして太宰は彼女が立てた作戦書に目を通し思考を巡らせる
太「……プラン“一〇〇”で行こう」
『一番最後のやつですか。しかも僕が一番やりたくなかったのです』
太「でもこの作戦にすれば君は被害者となる。つまり、私の逃亡に関与していないと周りに思ってもらえるだろう?」
『……自分の事だけを考えればいいのに』
納得いかない彼女に太宰は嬉しそうに微笑む
太「それくらい君が大切だよ」
『……』
太「あれ、照れ」
『黙れ女たらし!』
太「……アガッ!?」
芥川の拳が太宰の腹に命中
暫く彼は痛みが治まらなく、動けなかった
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『……毎晩、港に現れる異邦人ですか』
森「そう。そして何故かマフィアの倉庫を物色しているらしい。目障りだし、何時倉庫の物を持ち出すか判らないから片付けておいてくれるかな?」
夕刻。陽が傾き首領室に夕日が差す
芥川は目を細め森を見つめる
『……本当に片付けて構わないのですね』
森「ああ、勿論だ」
『御意』
任務を承り、頭を下げ扉へ歩き出す
扉の取手に手を掛けた時、森が「期待しているよ」とにこやかに云った
『……何にですか?』
森「君の活躍にだよ、頼んだよ」
その“頼む”は何に対してだろうか?
異邦人を片付けることか。それとも───
森「太宰君に宜しくね」
その言葉に対しての返事はせず、芥川は思いっきり扉を閉めた
残された首領室で金髪少女が不満げに森を見上げる
しかし彼は口角を上げ満足そうに目を細めるのだった
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らしろ(プロフ) - Regulusさん» コメントありがとうございます。楽しみにして下さり嬉しいです。頑張ります(*^^*) (2019年6月19日 20時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
Regulus(プロフ) - このお話大好きです(*≧ω≦)続き楽しみに待ってます!更新頑張ってください(*≧∀≦*) (2019年6月15日 6時) (レス) id: 9c91fd3a1d (このIDを非表示/違反報告)
光牙(プロフ) - 私的には太宰オチがいいな〜。個人の意見なんで気にしないでくんさい。そして更新がんばれ!応援してます(^ー^)ノ (2018年12月11日 21時) (レス) id: bfcb6bfd1c (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - Lamia0495さん» コメントありがとうございます。オチはまだ未定ですが、色々考えてみます( ^^ ) (2018年9月12日 0時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)
Lamia0495(プロフ) - 敦くんオチ…だったらいいなぁ… (2018年9月11日 20時) (レス) id: a731b4f87b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らしろ | 作成日時:2018年9月8日 18時