第××話『抜ケ出セナイ“壱”』 ページ36
カランっと扉のベルが鳴る
心地の良いBGMと共にコツコツっとヒールを鳴らす
『ゴホッ……ゴホッゴホッ』
「大丈夫か?芥川」
『……心配無用』
彼女の顔を覗き込む赤髪の男は酒を片手に怪訝な顔をしていた
「オレンジジュースか?」
『……ああ』
「マスター、オレンジジュース」
淡白な返事をした彼女は男の横に座りまた咳をした
男が持っているグラスの中の氷がカランっと揺れる
『……今日はあの包帯無駄遣い装置は来てないのか?』
「太宰か、彼奴は仕事だ。お前こそ仕事はないのか?」
『僕は手早く済ませた故に此処に来れた』
「お前は凄いな。まだ十六だろ?もっと遊んだ方がいい」
『……この年代の子どもはどんな遊びをするのだ?』
「……編み物?」
『……今度やってみよう』
突っ込みが居ない中、芥川の目の前にオレンジジュースが置かれた。毎回、オレンジジュースを注文するので特別にBARに置いてあるのだ。有難い
「なんか機嫌悪いな。何かあったのか?」
『……判るか?』
「ああ。いつもより眉間に皺がよっている」
え、いつもより……?
サッと右手を自分の眉間をさする
『……そうか。実はな、太宰さんと似た思考の持つ男に会った。そして弄ばれた』
「それは大変だったな。楽しかったか?」
『楽しいわけないだろ。何を云っても軽く躱されるか、気持ち悪い言葉を吐くだけの男と会話したんだぞ?』
「何を云われたんだ?」
『僕が“消え失せろ”と云ったら、“貴女に惚れたので無理です”と涼しい顔で云われた』
「モテ期か」
『断じて違う。抑々、僕は男として生きているのだ。男に好かれても困る』
「なら女に好かれたいのか?」
『……いや、それも違うな』
「……難しいな」
『ああ、難しい』
一息ついてオレンジジュースを飲む
こんな他愛もない話でもとても居心地が良い
『お前の今日の仕事は何だったんだ?』
「また爆弾処理をした」
『……“また”、か』
「俺はお前みたいにあまり強くないからな」
『何を云っているのだ?お前は僕より相当強い。僕は爆弾処理など出来やしない』
「……そうか。ありがとう」
それから沢山話しをした
仕事の話だけでなくプライベェトの話、そして将来の話
「芥川、お前は夢はあるか?」
彼から告げられた問いに彼女は首を横に振ったのだった
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らしろ(プロフ) - Regulusさん» コメントありがとうございます。楽しみにして下さり嬉しいです。頑張ります(*^^*) (2019年6月19日 20時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
Regulus(プロフ) - このお話大好きです(*≧ω≦)続き楽しみに待ってます!更新頑張ってください(*≧∀≦*) (2019年6月15日 6時) (レス) id: 9c91fd3a1d (このIDを非表示/違反報告)
光牙(プロフ) - 私的には太宰オチがいいな〜。個人の意見なんで気にしないでくんさい。そして更新がんばれ!応援してます(^ー^)ノ (2018年12月11日 21時) (レス) id: bfcb6bfd1c (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - Lamia0495さん» コメントありがとうございます。オチはまだ未定ですが、色々考えてみます( ^^ ) (2018年9月12日 0時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)
Lamia0495(プロフ) - 敦くんオチ…だったらいいなぁ… (2018年9月11日 20時) (レス) id: a731b4f87b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らしろ | 作成日時:2018年9月8日 18時