漆黒の狗は原作を知らない為困っているそうです3【文スト】【芥川成り代わり】

第百三話『黒幕ニツイテノ会議』 ページ23

ある日のマフィア本部会議室
五大幹部A(ｴｰｽ)に呼び出された､首領と尾崎､芥川が集まっていた




A｢今回お集まり頂いたのはドストエフスキーの件についてです｣



『……っ､ゴホッゴホッゴホッ！』



森｢芥川君､大丈夫かい？｣



『ゴホッ､ゴホッ……すみません』




“ドストエフスキー”という単語が出てきて思わず噎せてしまった
隣に座っている紅葉は心配そうに背中を摩ってくれた




森｢ドストエフスキー？｣



A｢はい､例の“白鯨落とし”の黒幕です｡“誘拐屋”を使い捕えさせました｣




……絶対に態と捕まったんだ｡そうに決まっている
太宰のように頭のキレる彼奴がこの男(A)が雇った誘拐屋に捕まるわけが無い




A｢奴は盗賊団“死の家の鼠”の頭目｡ですが私の手にかかれば溝鼠も同然です｣



森｢ふむ､もう少し梃子摺るかと思ったが……どんな男かね？｣




Aは少し考える素振りをして口を開いたが何を云ったか聞き取れなかった




A｢所詮は寒地鼠の親玉｡私の組織の財力を以てすれば賭博場(カジノ)のディーラーから巻き上げるより簡単でした｣



紅｢私の組織のう……｣



『……』




紅葉の言葉にAはチラリと彼女に視線を移したが､やがて興味をなくしたように森へと目を向ける




森｢孰れにせよ､その彼は知る訳だ……マフィアの報復の痛烈さを身を以てね｣



紅｢ウチの拷問班に遣らせるか？｣



『なら僕も』



A｢お待ちを｣




すかさずAが言葉を遮る
何だ？と彼を見遣れば余裕そうな笑みを浮かべて自分に仕事を任せろという




森｢君に？｣



『仮にもあの黒幕だぞ｡考えが甘過ぎる』



紅｢その通りじゃ､張り切るのう｡組合戦で真っ先に避難壕(シェルター)に逃げた幹部が｣



A｢真っ先に敵に捕われた幹部殿達より適任では？｣



紅｢……｣



『……チッ』




今の彼の一言で一気に会議室が氷点下
此奴は人を苛つかせる天才らしい




A｢腐ってもあの組合を欺いた男｡対策が必要でしょう｡私に考えが｣



森｢……君の捕えた鼠｡君に任せる｣



A｢恐悦の至り｣



『首領……っ！』




納得いかない｡何でこんな奴があの鼠の相手を任される？
森の方を見ると何も云うなという目で此方を見ていた




A｢如何しましたか？何か私にご不満でも？芥川君｣




不満だと？山ほどあるに決まっているだろう
鋭く睨みながら『何も』と端的に言葉を発し目を伏せる

Aは満足そうに微笑み会議室を後にした


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