第百七十話『弁解ノ余地』 ページ13
────私達、付き合おう
太宰の思いがけない言葉に芥川も中也もポカンと微笑んでいる男の顔を見る
『冗談は……』
太「冗談じゃないさ、私は本気だよ」
彼の瞳が芥川だけを捉える
とても愛しいものを見ている目だ。
『……この間、楽しげに話していた女性は?』
太「向こうが勝手に云い寄って来たのさ」
『この間、廊下で腕を組んでいた女性は?』
太「向こうが勝手に腕を組んできたのさ」
『この間、執務室に連れ込んで朝になっても出てこなかった女性は?』
太「ちょっ、ちょっと待って。なんで君、そんなことまで知ってるの!?」
慌てた様子の太宰に芥川も中也も呆れ顔
何で知ってるって全部エリスから教えてもらったものだ。画像付きで。
『女たらしと付き合う気など無いです。それに僕は男として生きていくと決めたのでそういうのはお断りさせていただきます』
丁寧に頭を下げてまた読書を再開
中也は大爆笑で太宰は悔しそうに地面にうつ伏せて喚いていた
太「あれはー!そんな意味じゃー!」
『はいはい、大丈夫です。どんな事をやらかしても僕は太宰さんについて行くつもりですよ』
中「芥川がしっかりしてると安心だぜ。ざまァねェな、太宰!」
良いものが見れたと愉快そうに鼻歌を歌いながら中也は部屋を出た
太宰は芥川の足にしがみついて離れない
『……それで?そんな意味で無いのならどういう意味で?』
太「聞いてくれるのかい!」
『……弁解だけでも聞こうと思いまして』
どうせ大したことじゃないだろう、グチグチと云い訳を並べるだけだろうと芥川は本に視線を落とす
太「実は云い寄ってきた女は君のことを悪く云ってね。少し脅したら直ぐに逃げたよ」
『ん?』
太「腕組んで来た女も君のことを悪く云っていてね。私が甘い言葉一つ掛けて拷問部屋に行って痛め付けたよ」
『え……』
太「最後に部屋を連れ込んだ女だけど。あの女、君の悪口を振り撒いた張本人だったからさ」
スっと簡易ベットのある部屋を指さした
芥川は嫌な予感がしてそこへ向かう
太「……殺したよ、そこで」
『……っ』
五畳半の部屋には血がべっとりついていてさほど古くない血痕に芥川は顔を顰めた
『……太宰さん。僕は貴方に弁解の余地を与えました。しかし彼女達には与えなかったのですか』
太「つまらない御託を並べるだけだろう?」
太宰の冷えた瞳に芥川は口を噤んだ
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第百七十一話『意味ノアルコト』→←第百六十九話『私達、付キ合オウ』
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アニヲタ(プロフ) - 少し遅くなりましたが最近(?)20巻発売されましたね!私はもう…ショックが酷くて読んだ後一週間位病んでました笑更新再開ずっと気長に待ってます!無理の無いご自分のペースで書いてくださいね…!ずっとずっと待ってます! (2021年1月11日 22時) (レス) id: 71f36505fa (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - アニヲタさん» いえいえ、リクがありましたら可能な限り受け付けます。お時間が掛かるかもしれませんが、、、でっぷるは映画で一度見たきりなのであまり詳しく覚えてないです、、小説は友人に貸して帰ってこないんですよ笑 (2020年7月30日 3時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
アニヲタ(プロフ) - 厭々!!!リク受けて下さるだけでも十分過ぎるのにぃ…マジで有難う御座います…!実は私もでっぷる編全く、これっぽちも知らんのですよねぇ...。 (2020年7月28日 18時) (レス) id: a9a289fd68 (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - アニヲタさん» コメントありがとうございます。でっぷる編ですが今、手元に小説がない状況でして書くことが出来ないんです、申し訳ないです、、、リク希望ありがとうございます。時間が掛かるかもしれませんが、受付致します。 (2020年7月28日 18時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
アニヲタ(プロフ) - あのぅ…でっぷる編書くご予定はありますでしょうか…?若し無ければリクをしたいのですが… (2020年7月28日 14時) (レス) id: a9a289fd68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らしろ | 作成日時:2020年3月16日 21時